シラフでいることがクール! Z世代が「ノンアル・低アル」を好む理由:酔っ払うのはカッコ悪い(2/5 ページ)
「アルコール離れ」が加速している一方で、顕著な伸びを見せているのが、ノンアル市場だ。大手飲料メーカー各社がノンアル・低アルの新商品をこぞって発売し、“ほどよい飲み方”を推奨している。なぜ、若者を中心にノンアル・低アル商品が好まれているのか。
積極的に「飲まない」選択をする人が増加
元田氏によれば、欧米では、あえてお酒を飲まない、あるいは少量しか飲まないライフスタイルを指す「ソバーキュリアス」が増えるなど、「シラフでいることがクール」といった価値観が広まりつつあるという。
ソバーキュリアスというワードの生みの親であるルビー・ウォリントン氏の著書『飲まない生き方 ソバーキュリアス』によれば、ソバーキュリアスを選ぶと「ぐっすり眠れるようになる」「お金が貯まる」「生産性がアップする」などの変化があるそうだ。
元田氏は「日本でもソバーキュリアスに近い価値観が広がりつつある」と話す。アサヒビールの調査によれば、20〜60代の人口約8000万人のうち、お酒を飲まない人(飲めない人+あえて飲まない人)が約4000万人にのぼるという。中でも20〜30代はこの傾向が強く、半数以上が「飲まない」そうだ。
「実際に20〜30代の人と話して聞かれたのは、『酔っ払うのはカッコ悪い』とか『合理的じゃない』といった声です。この年代は、一昔前の飲み会カルチャーを受け継いでいないし、節度ある飲み方が浸透していますよね。仲間とのつながりは大事にするけれど、コミュニケーションは従来の飲み会じゃなくてもいい、と考えるようです」(加藤氏)
さらに、コロナ禍で飲み会や外食が減ったり、ノンアル・低アル商品のラインアップが増えたりするなかで、「飲み分け」の需要も増えているようだ。
「以前は、運転しなければいけないからノンアルでガマンするなど、ノンアル・低アルはネガティブな選択肢と考えられていた気がします。しかし、最近はコンディションを保つために平日はあえてノンアル、週末だけお酒を飲むといった飲み分けをする人が増えているのかなと。酔いたくないけれど、ジュースやお茶では物足りない。そういう人が積極的な選択としてノンアル・低アルを選ぶという新たな市場ができている印象です」(元田氏)
「私がまさにこのタイプで、1日の終わりにリフレッシュしたい。けれども酔いたくないという考えから、あえてノンアルを選ぶようにしています」(加藤氏)
アサヒビールでは、アルコール度数0.5%の低アル飲料として、21年3月に「アサヒ ビアリー」(ビール)を、9月に「アサヒ ハイボリー」(ハイボール)を発売。当初は共働き世代の30〜40代に好評で、その後も順調に伸びている。21年のアルコール度数1%未満のビールテイスト飲料は前年比で118.1%、カクテルテイスト飲料は同126.7%に伸長したそうだ。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 吉田カバンが「1+1=3」の発想 リュックが2つに分かれる新作にびっくり
吉田カバンからユニークなカバンが登場した。リュックが2つに分かれるタイプを発売したところ、じわじわ売れているそうだ。「吉田カバン」といえばベーシックなモノが多いのに、なぜ見たことも聞いたこともない商品を開発したのだろうか。担当者に話を聞いたところ……。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.