社長が連れてきた「すごい人」は役立たず!? DXを失敗に導く7つの要素:成功するには?(1/5 ページ)
「DXに出遅れたものは敗者となる」と焦る企業は多い。一方で、DXに成功している企業は少ないと筆者は主張する。その原因は?
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
WEB3.0専門のコンサル会社 マーヴェリック株式会社 COO(Chief Operating Officer)
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
「出遅れたものは敗者となる」という危機感や焦燥感のもと、大手から中小企業までDXに必死に取り組んでいます。しかし、DXに成功している企業がどれほどあるでしょうか。
ビジネスニュースやさまざまな企業から筆者が受けている相談内容を総合すると、「DXに失敗、もしくは苦戦している」というケースが多い印象を受けます。
果たしてなぜこのようなことが起きるのでしょうか。理路整然としたセオリーでは語りつくせない、ある意味泥臭くて根深い構造的・組織的問題が影響しているように思います。
誰しもが利用する小売業を例に、DXの成功と失敗のポイントを整理してみましょう。
次の図にある通り、DXはビジネス変革と商品変革を実現するために存在しています。DXは目的ではなくあくまで手段です。ツール導入=DXという勘違いをしてはいけません。
これは顧客視点で考えれば至極当たり前のことです。顧客はデジタルツールを買いに来ているのではありません。商業施設で楽しい時間を過ごし、素敵な商品と出会い、購入するというストーリーを求めています。そもそもその小売業態が魅力的ではなく、顧客が欲する商品がないのに、アプリのID統合を実施したり、POSデータと外部環境データによる需要予測の精度を高めたりするといった施策を講じても、想定しているほど効果が得られないのです。
事業戦略と商品戦略が強固だからこそ、DXは機能します。少し極端に表現するなら、「戦略が固まらずしてDXに着手するべからず」くらいの意識を持つことが必要です。
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