米アマゾンがアイロボットを買収、その狙いは何か?:知らないと損?業界最前線(3/5 ページ)
米アマゾンは8月5日、ロボット掃除機「ルンバ」を展開する米アイロボットを約17億ドル(約2200億円)で買収すると発表した。アイロボットの創業者であり会長兼CEOは、引き続きCEOとして留まるという。この買収によるアマゾンの狙いと、ルンバの今後について考えてみたい。
ロボット掃除機市場は、中国勢が猛追
ルンバは、ロボット掃除機市場において世界トップシェアを誇るブランドだ。20周年を迎える今年、世界での累計販売台数が4000万台を突破したことを発表するなどその強さは今でも健在だ。
【訂正:8/30 16:40 記事初出時に、「ルンバは今年30周年」と記述しておりましたが、「20周年」の誤りです。お詫びして訂正いたします。
しかしトップブランドであるということは、後続の各社に常に追われていることでもある。
これまでライバルといえるブランドとして、西海岸のネイトロボティクスや韓国のLGなどがあったが、近年のロボット掃除機市場には中国メーカーが急増しており、ルンバを猛追している。例えば、世界シェア2位の「ECOVACS(エコバックス)」は、中国、日本などのアジア圏だけでなく、世界市場でのシェア拡大を進めている。
ほんの数年前までは、新しいロボット掃除機ブランドが登場しても、価格以外でルンバに勝つのは難しかった。
しかし近年、新興ブランドとの性能差は縮まり、新機能の搭載に至っては中国勢のほうが早いこともある。さらにアンカーやiLIFEといった低価格ブランドのロボット掃除機の品質も向上している。つまり、ルンバの先行者利益が失われつつあるのだ。
ここにアマゾン傘下に入ったメリットがある。例えば、北米市場ではアマゾンによるPB(プライベートブランド)家電が数多く展開されている。アイロボットの買収により、ルンバをベースにしたアマゾンブランドのロボット掃除機が登場する可能性も大きい。
アイロボットにとっては、世界市場でのシェアをこれまでと同様以上に確保し、ブランドを守っていくためにアマゾンのバックアップは非常に心強いはずだ。
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