月利8%? 激増する怪しい投資話、金融教育は対策となるか:金融ディスラプション(1/3 ページ)
「いま月利8%で回っている。追加で500万円入れようと思っているが、どう思う?」。こうした相談をしてくるのは、日本を代表する大企業の一流とされている社員だ。優秀で頭もよい30代、40代の働き盛りが、投資詐欺のターゲットになっている。
「いま月利8%で回っている。追加で500万円入れようと思っているが、どう思う?」
大学時代の友人から、最近こんな相談を受けることが増えたと話すのは、IFA事業を営むJapan Asset Managementの堀江智生代表だ。こうした相談をしてくるのは、日本を代表する大企業の一流とされている社員だ。優秀で頭もよい30代、40代の働き盛りが、投資詐欺のターゲットになっている。
「身近な先輩などから持ち込まれるケースが多いようだ。『オレはこれで10万円が30万円になった』とか」(堀江氏)。サクラなのか実際に信じているのかはいろいろだが、信頼する友人経由で、怪しい投資話が持ち込まれるというパターンが増加している。
8月25日には、22歳女性が、同級生からのSNSがきっかけで仮想通貨の運用をうたう投資に手を出し、そのために行った150万円の借金を苦に自殺したニュースが流れた。また、27日には40代男性が、マッチングアプリで知り合った人物からFXの運用を誘われ、計1億円を振り込んだという詐欺事件もニュースになっている。
昔から投資詐欺はあったが、最近は若者や会社員など、普通の人々に被害が広がっている印象も持つ。これはなぜか。
「SNSの広がりはきっかけの1つで、資産形成への関心が強まっていることが理由の1つではないか」と堀江氏は話す。
確かに、Twitterでも「いくらもうかった」とか「こんな投資をすれば間違いない」など、投資に対する距離感が近くなってきている。投資への関心が高まる事自体は悪いことではない。問題は「どうせ投資するなら、年で5%ではなく、毎月5%もらえるものがいい、と思ってしまう」(堀江氏)ことだ。
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