コロナ禍で列車本数を「減らす鉄道」「減らさない鉄道」の違い:今後どうなる?(4/4 ページ)
長引くコロナ禍で、鉄道各社の戦略に違いが見られてきた。春に続き8月にダイヤ改正に踏み切る東京メトロ。そして、JR東日本やJR東海は……。
コロナ後の復活に備えるJR東海
JR東海は、ポスト・コロナに対して強気の姿勢を示す鉄道会社である。
新幹線、在来線ともに積極的に新車を導入し、本数も減らさない。コロナ前から決まっていたものの、「のぞみ12本ダイヤ」を見直すこともない。この夏は多くの「のぞみ」を東京〜新大阪間で運転した。行動制限がない中で、多くの人が帰省や旅行をするため、輸送手段を確保した。
東海道新幹線は大きな需要が見込まれるので、きちんとそれに見合った列車本数を供給する。コロナ前から計画していたものだったが、コロナ禍以降もその体制を見直そうとはしなかった。
JR東海の基本的な考え方として、どれだけオンラインでのやりとりが進んでも、対面で人と人が会うことや、どこかへでかけることは決してなくならない、というものがある。その考え方を決して崩さず、コロナ禍での利用者減の時期には耐えて、コロナ後に備えている。
今年のお盆シーズン、東海道新幹線は多くの人を運んだようで、前年同期の2.1倍、215万人を輸送した。JR全体でも、お盆期間の新幹線や在来線特急の利用者数は前年同期の2.1倍、685万人だった。もちろん、コロナ前に比べれば低いものの、少しずつ戻っているのが現状だろう。
報道などを見ていると、オンラインで何かをするよりも、やはりコロナ前のように対面で何かをしたいと考えている人が多いように感じられる。オンライン化が進むところはもちろんあるものの、昔ながらの対面でのやり方に戻ろうという動きも強い。
コロナ禍がいつまで続くかは分からない。感染拡大の状況を見ると、近いうちに終息することはないだろう。
感染者が増えていても、行動制限がなければ多くの人は動く。アフターコロナをどのように見通すかで、鉄道会社の「次の一手」は大きく変わりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
ドラえもんがつくった地下鉄は公共交通か? ローカル線問題を考える
『ドラえもん』に「地下鉄を作っちゃえ」という話がある。のび太がパパのためにつくった地下鉄は公共交通と認められるか。この話をもとに、公共交通になるための過程、利用者減少から撤退への道のりを考えてみたい。
2025年の大阪・関西万博で、鉄道の路線図はどうなるのか
2025年に大阪、夢洲で「2025年大阪・関西万博」が開催される。政府は主要公共交通機関に大阪メトロ中央線を位置付けた。このほか会場へのアクセスには船とバス、さらに具体化していない鉄道ルートが3つ、近畿日本鉄道の構想もある。また会場内の交通には、3種類のモビリティが計画されている。
不人気部屋が人気部屋に! なぜ「トレインビュー」は広がったのか
鉄道ファンにとって最高の「借景」が楽しめるトレインビュールーム。名が付く前は、線路からの騒音などで不人気とされ、積極的に案内されない部屋だった。しかし鉄道ファンには滞在型リゾートとなり得る。トレインシミュレーターや鉄道ジオラマなど、ファンにうれしい設備をセットにした宿泊プランも出てきた。
東京メトロ「有楽町線」「南北線」の延伸で、どうなる?
東京メトロ有楽町線と南北線の延伸が決定した。コロナ禍で事業環境が大きく変化する中、東京メトロが計画する今後の戦略とは。
