7カ月で3000台! 無名ブランドの「ピザ窯」が、なぜ売れているのか:外はカリ、中はフワ(5/5 ページ)
2021年に創業したENRO(エンロ)はアウトドア用ピザ窯「窯焼名人」を発売し、約7カ月で3000台が売れた。同商品の価格は3万円を超えるので、決して「安い」とはいえない。実績がない新ブランドの商品なのに、なぜ消費者にウケているのか。
次の一手は、煙が出ないガス仕様の新製品
現在、エンロでは都心でも使える新商品の開発に取り組んでいるという。伊藤氏によれば、煙が出ることを懸念して、購入を断念している人がかなり多いようだ。
「『煙がどのくらい出るのか』という問い合わせが本当に多いんです。都心に住んでいる方にも心配せずに使ってもらえるよう、煙が出ないガス仕様のピザ窯を開発中です」(伊藤氏)
新商品は、家庭にあるガスボンベのほか、ランタンなどに使うOD缶も使える。ガスボンベを使用する場合は専用のチューブでつなげる必要があるが、規制上チューブを一緒に販売することができないため、顧客自身で別途購入する手間が生じるという。
価格は現在の3万6980円から1万5000円ほど値上がりする予定で、チューブなどの関連商品をそろえると5万5000円ほどの出費になるという。
「価格は高いのですが、都心でおいしいピザを食べたい方には需要があると思っています。国内でガスタイプのピザ窯は主流ではなく、8万円を超える製品は発売されていますが、それと比較すれば購入しやすいだろうと。新商品は煙突がなくなり、都心のベランダでも使用可能です」(伊藤氏)
早ければ10月には発売できる見込みだが、最初は在庫を持たず、予約販売となる。現在発売中の「窯焼名人」も同様の手法で展開したそうだ。
エンロでは、ピザ窯に関連した食品販売にも注力する。発売中の2種類のピザ生地(ローマ風とナポリ風)は人気が高く、100セットが3時間で完売したことがあるほど。今後、全粒粉を使ったピザ生地や牛肉、モッツァレラチーズなどを取り扱う予定もあるという。
「1家に1台、本格的なピザ窯を普及させたいという思いで、商品開発や動画配信に取り組んでいます。家族や友人同士で、ピザ窯を囲んで楽しい時間を過ごしてほしいなあと。そのためのアシストはどの競合よりもできていると思うし、今後もより突き詰めていきます」(伊藤氏)
本格的な手づくりピザを食べたい、ちょっと特別な体験をしてみたい――。動画コンテンツや新商品による継続的なコミュニケーションが、消費者の好奇心を刺激しているのかもしれない。
写真提供:エンロ
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