1時間で40本 ファミマの飲料補充ロボがゆっくり仕事をしている理由:全国300店舗に拡大予定(4/4 ページ)
ファミリーマートは飲料補充AIロボットの導入を強化している。ロボットは24時間に1000本、1時間に約40本飲料を補充し続けるという。もう少しスピードアップしたほうが効果的ではないのか……?
飲料補充AIロボット 効果はどう見込む?
「TX SCARA」はデータを基に売れる順番に飲料補充を行うため、販売機会の創出につながり、日商増も見込めるという。
また、店舗スタッフは1日に何度もプレハブ型冷蔵庫に入る必要がなくなった。基本的には1日1回在庫棚に補充すればよいため、空いた時間で別の作業ができる。狩野氏は「AIロボットの導入で作業時間が〇時間減った、雇用人数が〇人減ったなどの直接的な話ではなく、波及効果を期待している」と話す。
「飲料補充の作業が減ることで新たな雇用が必要ではなくなった場合、募集コストや教育にかかる時間が減少します。従業員にかかっていた負荷を軽減し、新たな時間を生み出せます。すると、今まで忙しすぎてできていなかった作業に手が回せたり、より丁寧な教育を行えたり、店舗全体で作業の効率化が図れると考えています」(狩野氏)
今回は飲料補充AIロボットに加えて店舗作業分析システム「TX Work Analytics」も導入した。店舗従業員が位置情報の発信機を装着し、店内の受信機が位置データを認識する。すると、各時間帯における作業時間の可視化・分析が可能となる。狩野氏は「『TX SCARA』の導入によってどこまで効率化ができたかをを計測します。また、従業員の1日の作業を測定・分析することで、全体オペレーションの最適化を目指していく」と意気込む。
「現状の作業にかかる時間を定量的に測定することで、さまざまな課題が顕在化すると考えています。例えば、仮にファミチキを揚げるのにすごく時間がかかっていた人がいるとします。その場合の課題解決の方法としては、全てAI化、ロボット化を目指すということではなく、ファミチキの揚げ方を改めて研修し、全員が同じ時間で調理できる状態を目指すことかもしれません。『TX Work Analytics』の導入で、現状の課題や人手をかけなくてもよい作業を炙り出し、削っていくこと目指しています」(狩野氏)
全国300店舗への拡大を目指す
同社は2021年10月からファミリーマート経済産業省店で「TX SCARA」「TX Work Analytics」の導入を開始。22年8月からは全国300店舗への拡大を目指していく。
今回、店舗を拡大していくにあたっては、店舗の立地や特徴、売り上げなどの条件を変えながら、ファミマ全店舗に導入するための検討材料として情報を集めていく。今後フランチャイズ店舗への導入も推進できるよう、満足のいく水準で各店舗に合うオペレーションを確立していく。
「全体の作業の中で、まだまだ簡素化できる部分はたくさんあります。飲料補充で言えば、納品から在庫棚に移す作業もロボットが担ってくれると負担はさらに減るかもしれません。今後も従業員の負担をどうやったら減らせるのかを考えていきます」(狩野氏)
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