コラム
退職までに消化できない有給休暇 会社には買い取り義務がある?:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン(1/2 ページ)
【Q】来月末で退職する従業員がいますが、退職までに消化できない有給休暇があり、買い取ってもらえないかと相談がありました。買い取る義務が会社にはあるのでしょうか。【A】有給休暇の買い取りは原則として……
連載:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン
働き方に対する現場の疑問を、社労士がQ&A形式で回答します。
Q: 来月末で退職する従業員がいますが、引き継ぎのためには出社せざるを得ず、退職までに消化できない有給休暇があるようです。本人から、この分の有給休暇を買い取ってもらえないかと相談がありました。
会社のためを考えて有給休暇を消化せずに働いているこの従業員に報いたいとは思いますが、そもそも会社には買い取る義務があるのでしょうか。
有給休暇の買い取りは義務? どんなときに可能?
A: 有給休暇の買い取りは原則として違法ですが、退職時に使い切れずに残ってしまった有給休暇を買い取ることは差し支えありません。なお、時効や退職に伴い権利が消滅する有給休暇を会社が買い取ること自体が労働基準法で義務付けられているわけではありません。
買い取りができる3つのケース
有給休暇は、一定期間継続して勤続した従業員に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与されます。この休暇は従業員が実際に仕事から離れて身体を休めることを目的とするため、会社は「お金を払って買い取れば有給休暇を与えなくて良い」ということにはなりません。
そのため、会社が有給休暇を買い取ることは原則として禁止されています。しかし、例外的に以下の3つに当てはまる場合には、有給休暇について会社が買い取ることが許されています。
- (1)法律で定められた日数を上回る有給休暇
- (2)時効で消滅してしまう有給休暇
- (3)退職時に使い切れず残った有給休暇
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