“1泊100万円”の城主体験 宿泊客から「安すぎる」と言われるワケ:天守に泊まる(1/5 ページ)
「1泊100万円」で天守に宿泊、伝統ある城の“お殿さま”になれる──そんな一風変わった宿泊プランを提供する城が愛媛県大洲市にある。宿泊客は「安すぎる」と話し、地元住民は「目に見えて街が変わった」と話すこの取り組み。一体どんなものなのかというと……。
「1泊100万円」で天守に宿泊、伝統ある城の“お殿さま”になれる──そんな一風変わった宿泊プランを提供する城が愛媛県大洲市にある。
大洲城は、大洲市が所有し観光客が入館料を支払い観覧する、というごく一般的な形式で運営している観光施設だ。通常午前9時〜午後5時までを観覧可能な時間としている。
閉館から翌日の開館までの間、この城を貸し切り宿泊できる「大洲城キャッスルステイ」が開始したのは2020年7月のことだ。
街並みを残すため──「花火を打ち上げる」ような取り組み
大洲市からの委託を受け、大洲城キャッスルステイを運営するバリューマネジメントの吉田覚さんは「実はこの取り組みは、城に泊まることを実現させようと考えて始まったわけではありません」と明かす。
「人口減少・流出によって失われつつあった大洲市の街並みや建物を残すため、観光による街づくりを進めることになりました。宿泊してもらうため、古民家を改装してホテルにする計画が挙がったのが17年ごろです。
その時点で、古民家を活用した分散型のホテルはすでに珍しいものではありませんでした。愛媛県の一地域で、分散型ホテルだけでは世間の目を引くのは難しい、という課題がありました」
古民家を活用したホテルに加えて、この地域でしかできないこと、日本のどこでもやっていないこと、日本が観光立国を目指す中での課題を解決できるようなこと──そんな事例を作ることができないか。そうすれば、世間の注目を集めることができるし、国などからのサポートも受けられるのではないだろうか。そう考えて生まれたのが“城泊”だという。
「言葉を選ばずに言うと、『花火を打ち上げる』イメージでしょうか。日本のどこでもやっていない“城に泊まる”という体験が、大洲に行ったらできる。それによって、街の知名度が上がることが、最も重要な要素でした」
実際、情報を公開した後は日本の大手メディアだけでなく、欧米豪の新聞にも取り上げられるなど、ワールドワイドに話題となった。
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