衝撃の「子どもIC運賃50円」開始から半年 小田急電鉄に手応えを聞いた:子育て応援車も導入(2/3 ページ)
小田急電鉄は3月12日から、小田急線の小児IC運賃を1乗車当たり50円にした。子育て世代を応援したいという趣旨だが、どのような変化が起きているのか。
なぜ「50円」なのか
なぜ、50円に設定したのか。もともと子どもの初乗り運賃は63円(IC利用時)で、それを下回る額を目指したという。また、他の鉄道会社との乗り継ぎで割引を実施している関係で「子ども0円」は難しかった。小田急電鉄・交通企画部の吉川卓杜氏は「鉄道収入への影響なども考慮した上で、お客さまの使いやすさや、『往復100円』という分かりやすさで50円に決めた」と説明する。
50円運賃の検討を始めたのは3年前だった。運賃改定の影響は少なくない。駅係員への教育、駅掲示物の刷新、システム改修、接続している他の鉄道会社との調整など、2年ほどの歳月が実現までに必要だった。
3月から50円運賃を導入することで、実際に子どもの利用はどの程度増えたのか。まず、前提として新型コロナウイルスの影響が昨年に比べて少なくなってきているので、鉄道の利用者数は回復基調にある。そうしたことを踏まえ、定期外のIC利用者数の推移を見ると、対前年比で子どものほうが大人を上回るペースで回復しているという。吉川氏は「50円運賃により、一定程度子どもの利用は増えているのではないかと考えている。今後も効果の検証を続けていく」と説明する。
50円運賃を表明したことで、副次的な効果も出てきた。小田急電鉄は子育て関連イベントを継続的に実施しているが、子育て応援ポリシーに共感した自治体や企業と協業する機会が増えてきたという。インパクトのある施策を打ち出すことで、コラボしやすい環境が少しずつ整ってきているようだ。
子育てしやすい沿線形成は小田急電鉄だけではできない。50円運賃をはじめとする施策により、他の自治体や企業をいかに巻き込むかが重要だとしている。
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