JR東日本「変革2027」発表から4年 計画から大きくズレた“誤算“は:現実はどうか(3/5 ページ)
JR東日本が2018年に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」。コロナ禍の状況もあり、当然ながらうまくいっていないことはある。当時の計画から大きくズレた誤算とは。
「変革2027」で掲げている数値目標
「変革2027」では、22年度の数値目標を示している。18年度計画で連結営業収益2兆9940億円としていたものを、22年度には3兆2950億円にまで伸ばすと計画していた。21年度の連結営業収益は、1兆9789億円と逆に減っている。こちらは25年度には3兆900億円を目標にしている。
連結営業利益は、18年度計画で4820億円、22年度目標で5200億円と計画していた。22年度の連結営業利益は、-1539億円となっている。こちらは25年度には4500億円を目標にする。
21年度の有価証券報告書(22年度終了後に作成)を見ると、収益力向上と経営体質の抜本的強化を課題に挙げている。収益力向上については、旅行機運や移動需要の喚起で鉄道事業の利用を回復させたいとしている。
経営体質については、鉄道事業のオペレーションコスト削減を推進、新技術の活用や設備のスリム化、仕事の仕組みの見直しを行い、運賃や列車ダイヤを柔軟化、地方ローカル線では沿線自治体と持続可能な交通体系に向けた協議を進めることとした。
「地方を豊かに」しようとしたが、経営環境などの変化で状況が変わってしまった。地方の活性化は、「変革2027」で掲げたものとは、かけ離れてしまっているのだ。
もちろん、コロナ禍が理由であることは言うまでもない。しかし、人口減少は「変革2027」でも触れていることであり、当然ながら織り込み済みのことであった。誤算としては、地方の衰退はJR東日本が思っていたよりも激しく、コロナ禍がそれを加速させ、活性化することが困難になり、風水害などで長期運休する個所も出て鉄道事業の持続可能性も分からなくなってしまったことである。
都市部の利益を地方に回すことで全体としてJR東日本は成り立っていたが、都市部の鉄道事業での収入が減ることで地方に回す余裕がなくなってきた。これだけ見れば、「変革2027」はうまくいっていないように思える。では、うまくいっている点は何なのか?
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