「専業主婦=怠惰」の風潮はなぜ生まれる? 就労タイプを4分類して見えること:増え続ける“働く母親”(3/4 ページ)
働く母親は7割を超え、年々増加の一途をたどる。一方で、働きたくて働く母親、働きたくないのに働かざるを得ない母親など、その内実はさまざまだ。個人の願望などをもとに就労状況を4つに分類すると、就業をめぐる課題解決に向けたヒントが見えてくる。
一方、不本意型就業者である母親は、本当は働きたいわけではありません。そのため、不本意型の働く母親が増えるのは望ましくないことです。この課題を解決するには、不本意型の働く母親を仕事から解放し、本意型不就業者へと移行させる方法を考える必要があります。
多くの場合、不本意型就業者が働く理由は収入不足です。解決策としては、例えばもし核家族であれば、親と同居するという方法があります。そうすれば、家賃代や生活費などが浮いて働かなくても済むようになるかもしれません。しかし、転居する必要があったり、親と反りが合わなければ同居によるストレスがかかる懸念などもあります。
あるいは、夫に収入をもっと増やしてもらったり、政府がベーシックインカムのような制度を導入して、働かなくても生活できる社会になったり、宝くじで高額当選するような奇跡が起きれば解決するかもしれません。ただ、いずれの方法も他力本願になります。
もし自力でなんとかしようとするのであれば、本意型不就業者ではなく本意型就業者を目指すという方法もあります。「この仕事だったら働きたい」と思えるような仕事を見つけて、その仕事に就くということです。
「働いていない母親」が抱える課題
これまでの推移を見ると、働く母親の比率は今後も増え続けていくことが予想されます。しかし、その中には本意型就業者も不本意型就業者もいます。望ましいのは、本意型就業者が増え、不本意型就業者が減ることです。働く母親の比率が増えているという数字だけを見たところで、望ましいか望ましくないかを一概に言うことなどできません。
ここまでは働く母親についての考察です。一方、働く母親が増え続けた裏側で、いまや約4分の1にまで減った“働いていない母親”たちが抱えている課題もあります。働く母親たちの大半が、仕事と主婦業を兼ねる兼業主婦であるのに対し、働いていない母親たちの大半は主婦業に専念する専業主婦です。こちらも先ほどの分類表にあてはめて考察してみます。
まず、働いていない母のうち不本意型不就業者について。働きたいのに働いていないわけですから、その大半は仕方なく専業主婦となっている不本意型専業主婦です。
専業主婦として育児や家事をメインで担当していると、仕事する際にどうしても時間の制約を受けてしまいます。そのため、残業が多かったり、通勤時間が長かったり、子どもが急に熱を出した時に休みが取りづらい仕事などはできません。時短やフレックスタイム、テレワークなど柔軟な勤務形態で働くことができる仕事を世の中にもっと増やさない限り、不本意型専業主婦の課題を解決して本意型就業者へと移行させることはできません。
もし、不本意型専業主婦がシングルマザーであるなど生計を立てる役割も自分がメインで担わなければならない立場だとしたら、仕事が見つけられない状況は家族の生活に直結してしまうだけに深刻です。
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