「目標未達に慣れた」社員たち やる気に火を付ける、たった1つの方法:Q&A 総務・人事の相談所(2/3 ページ)
【Q】売上高と経常利益の目標を立てていますが、いまだに一度も達成したことがありません。社員は達成できないことに慣れてきたように感じます。何か良い方法はありませんか。
4つの視点の目標例
視点 | 目標例 |
---|---|
財務の視点 | 売上高成長率、経常利益成長率、売上高総利益率、売上高経常利益率、売上高販管費率、社員一人あたり売上高、社員一人あたり人件費、人件費1円当たり売上高、総資本回転率、売掛債権回転期間、棚卸資産回転期間、株主資本利益率、株主資本比率、オペレーティングキャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、企業価値、 |
顧客の視点 | マーケットシェア、セグメント別マーケットシェア、新規顧客獲得数、顧客一人当たり年間売上高、顧客満足度、クレーム発生件数、繰り返し購買率、関連商品・サービス売上高、顧客紹介数、ブランドエクイティ |
社内ビジネスプロセスの視点 | 新製品投入件数、新製品売上高比率、製品開発期間、損益分岐点時間、売上高物流費率、売上単価に占める位置製品あたり製造原価の割合、サプライチェーンコストの売上高比率、原材料在庫回転期間、製品在庫回転期間、需要予測の精度、サプライチェーン・リードタイム、キャッシュバージョンサイクル、顧客応答時間、接客スピード、顧客希望納期遵守率、提案回数、歩留まり、不良品発生率 |
学習と成長の視点 | 社員定着率、社員満足度、改革提案件数、資格取得率、一人当たり研修時間、一人あたり研修費、情報探索に費やす時間、特許取得件数 |
出典:松永達也『図解バランス・スコアカード』東洋経済新報社、2006年
視点のバランスだけでなく、長期と短期のバランスも必要です。目標はともすれば「今年一年でこれをする」というような短期的なものに偏りがちです。しかしそうではなく、達成までに複数年かかるような長期の目標も設定し、一年でどこまで進めるかを今年度の目標にします。
過去と未来のバランスも必要です。十年一日同じ目標を掲げるのではなく、毎期最低でも一つは既存の目標を削除し、新しい目標に入れ替えます。
「スコアカード」というように、目標は極力数値化します。ものごとは何でも数値化できるわけではありませんが、数値化できないことは「もう少しだ」「まだまだだ」というように管理できないからです。
高すぎる目標は逆効果
目標は立てるだけで効果があります。「明確で困難な目標を与えることは、単に『全力を尽くせ』というような曖昧な指示を与えるより効果がある。その効果は結果に関するフィードバックが行われるとより高まる」という、「目標設定理論」という考え方があります。
目標設定理論の基になった、レザムとバルデスが75年に行った実験があります。そこでは木材の積み出し作業者に対し、「最大積載量の94%を目標にせよ」という指示を与えました。すると単に「全力を尽くせ」と指示したグループより、明らかに生産性が上がりました。
あるいは、ものごとを達成しようという欲求が強い人は、成功するか失敗するかが五分五分であると感じるときに最もやる気になると言われています(鹿毛雅治『モチベーションの心理学』中公新書、2022年)。
これらの事実から、目標は限界の94%あるいは達成確率が50%を想定して設定することをおすすめします。もちろん、多くの物事はどこが限界であるかも、実現確率が何%あるかも事前に知ることはできません。あくまでこれらをイメージして目標を設定します。
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