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「DX人材を獲得したい!」 そう意気込む企業が、まず陥る失敗とは:社内の“不満”はなぜ募る?(2/3 ページ)
難易度がますます上がっているDX人材の採用を実現するには、企業はどうすれば良いのでしょうか。よくある失敗パターンを基に、必要な取り組みを解説します。
DX人材を獲得するためのファーストステップ
まず見ていきたいのは、「DX人材が欲しいが、具体的にDXで何を目指しているか分からない・曖昧」というよくあるパターン。特に人事採用担当の方が理解していないケースが多く見受けられます。DX採用に限った話ではありませんが、社内の採用担当が分からないことを、社外の採用エージェントや候補者に理解してもらうのはまず不可能でしょう。
特にDX採用に取り組む企業には、長らく特定領域で事業運営をしている、いわゆるレガシー産業・レガシー企業が多いです。言い換えれば、社名を聞けばなんとなく何をなりわいとしているのか分かるような企業です。
だからこそ、「そうしたレガシーな環境の中、なぜITやデジタルといった文脈で事業変容をしていく必要があるのか」「どのように事業変容したいのか」を細かい粒度で、各場面でフロントに立つ人が理解していないと、到底満足のいく採用はできません。
採用担当者は事前に、経営陣やDXプロジェクトの責任者などの社内のステークホルダーと、経営や事業そのものについての会話を増やしておくべきでしょう。
「〇〇という職種で、〇〇歳くらいで、給料は〇〇万円」といった採用の要件だけではなく、自社の「過去の事業」「現在の状況」「DXを通して実現したい将来像」と、過去から現在、そして未来の自社の姿を語れるようにしておくことが大切です。
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