パナマ運河に匹敵? パラグアイの“交通革命”から見える地政学(1/3 ページ)
南米パラグアイにこのほど、新たな道路が開通した。新ルートが物流に与える影響や可能性について考察した。
英国のEU離脱やウクライナでの戦争などがあって、「地政学」という言葉が日本でもメディアを中心に取り上げられるようになって久しい。
ところが近年出版されたさまざまな地政学に関する本でも、そのエッセンスを分かりやすく説明しているものが少ないと感じている方も多いと思う。
そこで今回は、この分野を研究してきた人間として、地政学(正確には古典地政学)のエッセンスがよく分かる最近の国際的な例を取り上げて、解説してみたい。
輸送時間12時間→4時間に短縮した新ルート
突然「パラグアイってどこ?」と言われても、日本には即座に地図で示せる人はいないかもしれない。ところがこの南米の国で現在、実にエキサイティングな「地政学的な変化」とでも呼べることが起こっている。
それは何かといえば、新しく建設されている道路のことだ。「なんだ道路か」と拍子抜けする読者もいるかもしれないが、以下の説明を聞けばその重要性がお分かりいただけるかと思う。
今年初めのことだが、パラグアイで建設されていた全長544キロの舗装路の半分の区間が完成した。パラグアイ北東部のブラジルとの国境に近い「カルメロ・ペラルタ」という町から、西に向かった中心部の「ロマ・プラタ」という町を結ぶ舗装路であり、今回開通した区間は276キロである。
それまでの同区間は、例えば、荷物をトラックで運ぶ場合にも、最低でも12時間はかかっていたが、今回の道が開通したおかげで、その時間が4時間に短縮されたという。
以前は雨が降ると地面がぬかるみ、スタックしてしまうため、運転手は散弾銃を常に所持していたという。道が乾くまで付近で野宿して、イノシシやワニを撃って食料にするというワイルドさである。
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