【10月開始】短時間労働者への「社会保険適用拡大」 企業が知っておくべきポイントを解説:対象者が大幅に拡大(3/3 ページ)
10月から短時間労働者に対する社会保険の適用拡大が始まります。企業側が社会保険加入の適用拡大に向けて準備すべきことを解説します。
中小企業を取り巻く環境は厳しくなる
10月からは最低賃金の引き上げ、雇用保険料の引き上げなども実施されます。最低賃金は地域によっては最大で33円の引き上げ、全国平均でも31円の引き上げとなります。東京都の場合は、1041円を31円引上げ(引上げ率2.98%)て1072円になります。
雇用料保険料率も値上がりして事業主負担分が6.5/1000から8.5/1000になります。社会保険料と異なり、従業員1人当たりの負担増価額は一般の事業の月給20万円の社員の場合、1300円から1700円と400円程度です。それでも100人単位になると4万円、年間にすると50万円近くにも達します。中小企業にとって人件費の負担が重くのしかかると想定されます。
従業員の賃上げ実施に伴う助成金制度を利用する、DX化を推進して生産性を向上させるなどの施策を国は推奨しているものの、現実的には厳しい面もあるでしょう。助成金の申請には手間がかかりますし、申請してもすぐにもらえるわけではありません。DX化を図ろうとしても、先立つ資金が必要です。ITに強い人材を外部から採用したり、内部の人材を教育したりするにも費用がかかるからです。先立つ資金がなければ、進展は難しいでしょう。
現実的なのは、販売価格の値上げです。BtoCの企業であれば商品価格を高くする。大企業の協力会社として事業を展開しているのであれば、受注価格をアップしてくれるように交渉する必要があります。値上げをすることにより、競合企業から後れを取るのでは不安に思う経営者もいるかもしれませんが、思い切って決断しましょう。発注先の企業と交渉する際には、今回の法改正により具体的にどの位、人件費に影響があったかを明確にしましょう。大企業側も中小企業の厳しい状況を理解して可能な限り、対応することが望まれます。
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