リモートの職場トラブル、落としどころは? 「束縛する上司」と「スマホで株式投資をする部下」(3/3 ページ)
オンライン中心の働き方が定着したことで、新たな問題が浮上している。むやみに連絡して束縛する上司、勤務中に株式投資や転職活動にいそしむ部下──リモートの職場トラブルの落としどころはどこにあるのか?
ハラスメントにつながる危険性
ハラスメントの事例もある。IT企業の人事部長はこんなケースもあったと話す。
「ある部署のチーム内のZoomのミーティング中に先輩社員が後輩の社員にふざけて『彼女が部屋にいるんだろう、紹介しろよ』と何度も言い、怒った後輩がZoomを切ってしまったそうだ。最初はちょっとした笑い話かと思っていたが、別の部署でも『奥さんにあいさつしたいから、顔を見せてよ』と言ったという事例もある。リモートワークで仕事とプライベートの境の区別がつかない社員もいるし、リモートワーク中の禁止事項など新たなルールを設けることにした」
たとえ在宅であっても勤務時間中であれば職場であり、本人が嫌がる行為を何度も繰り返すとパワハラに当たる。
この事例もプライベートな領域に踏み込んだパワハラに近い行為だ。
「パワハラ防止法」が2020年6月1日に施行された(中小企業は2022年4月施行)。法律ではパワハラを(1)優越的な関係を背景とした、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、(3)就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)と定義し、この3つの要素を全て満たせばパワハラとなる。
優越的関係とは上司と部下の関係だけではなく、同僚や部下からの集団による行為も入り、それに抵抗または拒絶することが困難なケースも該当する。オンライン上だからと執拗に同僚が嫌うプライベートな話題を振るのは要注意だ。
オンライン会議で本人が嫌がるプライベートな問題を話題にすることはもちろん、部下と上司の1対1の面談の際にプライベートな話題に言及しないようにすることも必要だ。
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