面接時の説明と違う職種に配属 アウトではないのか?:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン(1/2 ページ)
【Q】新たに営業職として従業員を採用しましたが、中途採用で業界の経験が浅いため、研修も兼ねてカスタマーサポートに配属をしました。しかし本人は「採用時の説明と異なる」と抗議しています。どう対応すべきでしょうか?【A】労働基準法では……
連載:Q&A 社労士に聞く、現場のギモン
働き方に対する現場の疑問を、社労士がQ&A形式で回答します。
Q: 新たに営業職として従業員を採用しましたが、中途採用で業界の経験が浅いため、研修も兼ねてカスタマーサポートに配属をしました。顧客からの問い合わせに対応してから営業職に就いてもらおうとの思いがあったのですが、本人から「希望した職種ではなく、採用時の説明と異なる」「こんなの聞いていない」と抗議の声が上がっています。どのような対応が正しいのでしょうか。
法律上NGではないのか? 社労士が解説
採用活動では事前に一定の労働条件を提示して、会社も入社を希望する人もお互いに自身の希望を伝えた上で、会社としてその人を採用するか否か、従業員としてその会社に入社するか否かを決めることになります。
採用面接の際、会社側は採用の最終候補者に対する期待を高め、採用予定者に対して十分に労働条件が伝わっていると思い込んで必要な情報を伝え漏らしてしまうことがあります。入社希望者も自分の希望した業務に就くことによって新しい環境で自分を試せるのだと舞い上がってしまいかねません。このようにして、お互い良いところばかりを見て面接を通過し、入社してしまうのです。
いざ働いてみて「あれ、何か違うぞ?」ということにならないためにも、採用面接で労働条件を提示するときには、できる限り内容を具体的に明確に示して、認識の違いをなくしていく必要があります。
どう規定されているのか?
そもそも労働基準法第15条では労働条件の明示という項目があり、そこでは「使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければならない」と定められています。そのうち、労働契約の期間、働く場所や業務の内容、労働時間・休憩・休日、給与の支払い時期や計算方法、その他退職に関する事項については、特に書面で交付する必要があります。
関連記事
- 時給制の社員が、勤務時間が長い日にばかり有給を取得 なんとかできないのか?
一部の時給制の社員が、勤務の予定時間を長く設定した日に集中的に年次有給休暇を申請しています。勤務予定時間が長ければ長いほど賃金が高くなるため、他の社員から不公平だと声が上がってきました。どうすれば良いでしょうか。 - 社員に昇進を打診したら、本人が拒否──懲戒処分にできるのか?
「社員に管理職への昇進を打診したら断られた」という話を、よく聞くようになりました。調査によれば、出世したいと考える20〜30代は約2割ほど。昇進を拒否した社員に、どう対応すべきなのでしょうか。 - よりによって「4〜6月に支給される残業代」だけが高く、社会保険料が高額に 何とかしたいが……
当社の管理部門では毎年3月から5月は繁忙期で残業が多くなります。それ以外の月はそれほど残業はないのに、よりによって社会保険料が決まる4〜6月の給与だけが残業代で高くなり、「社会保険料が高額で、通常の給与に見合わない」と社員から不満が噴出しています。 - “残業代切り捨て”が違法なら、未払い分を「さかのぼって支給」は義務なのか?
これまで毎月の給与処理で残業代の計算をする場合、残業時間を15分単位で集計しており、15分未満の時間は切り捨てて運用していたのですが、従業員からその集計方法は違法ではないかとの指摘がありました。法的に問題があるのでしょうか。 - 「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.