マックは「客数」が減って、ミスドは「販売数量」が減る!? 同じ値上げなのに、影響が異なるワケ:価格設定の謎(4/5 ページ)
10月の値上げラッシュが家計に影響を与えているが、筆者はいい値上げと悪い値上げがあると指摘する。価格設定の知られざる仕組みを、身近な外食チェーンで考察する。
値上げをしないサイゼのすごみ
このような目線で各社の主力商品価格を見ると、はなまるうどんと大阪王将の値上がり率は1.1倍程度ですが、実は200円予算から300円予算へと予算帯が変わっています。小さな値上げのように見えて、実は大きな値上げになっていることが分かります。200円台だったから食べていた客層が両店からいなくなるかもしれません。ただ、今まで500円予算だったが、ランチ代を抑えるために300円予算に下げるというビジネスパーソンもいるので、やり方によっては新規客を獲得するチャンスともいえます。
その点、ココイチ、富士そば、崎陽軒の値上げは、同じ価格レンジ内での値上げですので、まったく問題ない値上げであることが分かります。
サイゼリヤにいたっては値上げをしていませんので、ここにきてさらに集客力を高めています。
実際に同社は「多くのお客さまが注文したくなる価格をめざす」と公式Webサイトでも宣言しているほどです。具体的には、「1980年から約30年間、物価の変動や消費税の導入などを経てもサイゼリヤのメイン価格帯は変わっていません」としています。
先日も、ある町の駅前ショッピングセンターに行った際、ランチをとろうとレストランフロアに向かいました。そこには、サイゼリヤとガストが隣り合わせに出店していました。
サイゼリヤは店頭にお客さんが10組ほど並んでいました。ガストは一人も並んでおらず、店内もすこし空いていました。
サイゼリヤのランチメニューのハンバーグステーキセットは500円です。ガストは10月6日から値上げし、超都心と都心、地方の3つのブロックに分けて価格改定を行いました。主力商品のチーズINハンバーグは都心価格で824円です。
サイゼリヤは500円予算で食べることができますが、ガストは1000円予算のランチです。サイゼリヤはサラダ、スープがついて、ドリンクバーをつけても610円です。ここまでついても500円予算のままなのです。
こうした状況では、少し待っても、サイゼリヤに入りたくなるのが平均的なお客さんの心理です。私は迷うことなくサイゼリヤに並んで待ち、入店しました。
同じような低価格型のファミレス業態でも、今やこれだけの価格差が生じているのかと、今の日本の実態を知った驚きの体験でした。
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