投資や仮想通貨などで広がる「モノなしマルチ商法」 ハマった社員が社内勧誘、会社はどう対応すべき?:被害相談件数は増加傾向に(3/3 ページ)
消費者庁は、日本アムウェイ合同会社に対して勧誘などの一部業務を6カ月間停止するように命じました。若年層を中心にマルチ商法にハマる人が増えていることが背景にありそうです。社員がマルチ商法にハマり社内で勧誘行為をしていたら、会社はどのように対応すべきでしょうか?
社員が社内でマルチの勧誘 どう対処する?
自社の社員がマルチ商法にのめり込み、同僚を勧誘している場合、どう対応すればよいのでしょうか? 原則として、会社は勤務時間外の社員の行動を制限できません。
しかし、会社は手出しできないのかというと、必ずしもそういうわけではありません。社員の職場外でされた職務遂行に関係のない行為であっても、「違法行為でお金を稼ぐ」「性風俗店で働く」など、企業の社会的評価を毀損(きそん)する恐れがあると客観的に認められる行為については、企業秩序維持のために懲戒処分の対象になった判例もあります。
先述したようにネットワークビジネス自体は合法です。ただし、目的を告げずに勧誘した場合は法律違反となる可能性があります。会社によっては、就業規則における懲戒事由として、以下のような要件を設けている場合があります。
- 会社に不利益を与える行為
- 社員としての品位を欠く不適切な行為
したがって社員に勧誘を止めるよう注意しても法律上の問題はないのです。あるいは禁止事項として、下記のような条文を追記してもよいでしょう。
就業時間の内外を問わず、会社の関係者(従業員、顧客、取引先等)に対して、いわゆる「連鎖販売取引」(マルチ商法、マルチまがい商法、ネットワークビジネス(NB)、ネットワークマーケティング、紹介販売、マルチレーベルマーケティング(MLM)を含むが、これらに限定されない)又はこれに類するものの勧誘を行うことを禁止する。
罰則だけでなくリスクを知らせるのも必要
罰則を設けるだけでなく、マルチ商法にハマらないよう注意を促す機会を設けてもよいかもしれません。会社がそこまでやる必要があるの? と疑問に思われる人もいるかもしれませんが、マルチ商法にハマった社員は仕事に身が入らなくなり、退職する可能性も否定できません。せっかく採用した若手社員を失うのは、企業側にとって大きな痛手です。
社会人としての基本的なマナーを学ぶ新卒社員研修の中で、マルチ商法の危険性や社内で禁止されていることについて説明してもよいでしょう。学校や家庭でマルチ商法の危険性を学ぶ機会は十分ではないからです。
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