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東急「田園都市線」と「池上線」で決定的に“違う”こと:人気路線の戦略(2/5 ページ)
東急電鉄の路線の中でも人気の「田園都市線」と「池上線」だが、実は沿線への向き合い方が異なっている。各路線で東急が取っている戦略とは。
実は新しい多摩田園都市
多摩田園都市構想は、1953年に原型となる構想が打ち出された。太平洋戦争が終結して10年も経っていない時代ではあるものの、東京圏の拡大は戦前から進んでいたため、歴史としては比較的新しいものである。
戦後、首都圏では住宅難が課題となっていた。都心部では空襲の被害を受け、また地方に疎開した人も多かった。そんな中で、住宅の必要性が高まっていたのだ。
1956年には住宅地の造成を開始、溝の口から長津田までの路線が開業したのは1966年だった。当時の東急田園都市線は大井町方面へと直通しており、渋谷方面に向かうようになったのは1979年のことだった。
路線の充実と合わせてまちづくりも進んでいく。住宅地の造成だけではなく、商業施設の建設などにも力を入れた。
その多くが東急系列の施設である。例えば、たまプラーザ駅には「東急百貨店 たまプラーザ店」が入居する「たまプラーザ テラス」があり、百貨店の食料品売り場(東急フードショー)だけではなく東急ストアもある。この商業施設にはさまざまなお店が並んでいる。
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