「怒り」は我慢するなかれ イライラを静める3つのステップとは?:“沼る”ビジネスパーソンの共通点(2/3 ページ)
1970年代に米国で生まれたアンガーマネジメント。2001年の米同時多発テロ事件以降、社会不安の高まりを受け一般にも普及した。怒りの感情に悩むビジネスパーソンが実践できる方法を専門家に聞いた。
――怒りに悩むビジネスパーソンが実践できる基本的な方法を教えてください
川田: アンガーマネジメントには、連動する3つの基本的なコントロール方法があります。
1つ目は、前編でも紹介した、6秒ルールの「衝動のコントロール」です。怒りを感じても反射的に反応するのではなく、6秒間やり過ごすことです。そうすることで理性が介入し、あとで後悔しない考え方ができるようになります。
この6秒間に、いま目の前で起きて自身の怒りにつながった原因を、紙などに書き出して言語化することが重要になります。言語化することで、自身が怒りを感じやすい原因が明確になり、後から対策が取りやすくなります。
――6秒間に怒りの原因を書き出すのですね。2つ目は何でしょうか
川田: 2つ目は「思考のコントロール」です。6秒間やり過ごして言語化した後に、実際に怒るべきことなのか、怒らずに済むことなのかの線引きを行います。言い換えれば、許せることか、許せないことかの線引きです。
許せることなのに怒ってしまうと後悔します。反対に、許せないことなのに怒らずにいると、それも後悔します。後悔しなくて済むように、怒りの許容範囲を線引きをすることが「思考のコントロール」です。
怒りを書き出すことで客観視できる
――怒るべきか否かの線引きが「思考のコントロール」ですね。3つ目は何でしょうか
川田: 怒りの許容範囲を線引きした上で、「怒る」と決めたときに考えるのが、3つ目の「行動のコントロール」です。自分が怒ることで状況を変えられるのか、変えられないのか。今すぐ怒るべき重要なことなのか、後回しでもいいことなのか。この2つの軸で考えます。
例えば、部下の仕事のミスや失敗は、指摘をしてあげることで正しく変えることができますが、相手の性格や考え方は変えることができません。
ほかにも変えられないこととして、交通機関や天気があります。大切な商談を控えているにも関わらず、車が渋滞で動かなかったり電車が遅れたりしているとき。また、大切な出張の仕事が入っているのに荒天で飛行機が飛ばないとき。これらは自分の怒りではどうにもできない状況ですよね。
反対に、相手に働きかけたり、努力したりすることで変えられることもあります。変えられる余地があり、かつ重要だと考えれば、適切な方法で怒ればいい。変えられる余地はあるが、そこまで重要ではなければ、心に余裕のあるときに後回しにすればいい。これが「行動のコントロール」です。
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