イオンの冷食売場で異変 1500品目を陳列して、どうなった?:日本最大級の品ぞろえ(3/5 ページ)
イオンリテールの新業態「@FROZEN(アットフローズン)」が、盛り上がっているようだ。約1500品目を扱い、日本最大級の品ぞろえを誇る。一番人気は……。
総菜から「冷食」へ転換。計画費2倍の売り上げに
なぜイオンがアットフローズンを導入したかというと、直近の冷食カテゴリー売り上げがコロナ禍以前に比べて3割以上も増加している事実があるためだ。
「冷食の売り上げはコロナ禍以前から右肩上がりでしたが、外出が制限されるようになって、伸びが加速しました。冷凍技術の進化により、冷食がおいしくなってきていることも踏まえ、本格的な参入を決めました」(青木氏)
とはいえ、既存店の冷食売場を大規模に広げるのはスペースの問題で難しい。そこで新業態のアットフローズンとして通常の冷食売場と切り離し、広めの総菜売場とイートインスペースをアットフローズンに転換することにした。
「コロナ禍以前、『中食』と呼ばれる総菜の伸びが顕著に見られました。そのため、バラエティー豊かな総菜販売とイートインスペースを組み合わせて2017年にスタートしたのですが、コロナ禍でイートインの需要が落ち込んでしまい……。浦安はファミリーから単身、シニアまで幅広い方が住むエリアですし、冷食の需要が高いだろうと考えました」(青木氏)
時期を同じくして、それまでは冷食をつくらなかった専門レストランが、新たなビジネスチャンスとして冷食に目を向けるように。高性能の業務用フリーザーも小型化し、小さなレストランでも導入しやすいサイズになっていた。
こういった背景から冷食業界が盛り上がり、日本最高峰の冷凍食品をうたう高価格帯の「Z’s MENU(ジーズメニュー)」や、横浜と仙台にオープンした冷食販売店「T●(Oにマクロン)MIN FROZEN(トーミン・フローズン)」などが話題に。イオンでもアットフローズンの導入にいたった。
8月30日にオープンしてから、予想以上に好調だという。
「夕方にドカンと来客の波があるわけでなく、午前中はシニア層、日中は主婦層、夕方以降はサラリーマンや学生など、コンスタントに来店いただいていますね。従来の冷食売場と比較して、お客さまの年齢層は確実に広いです。ディナー向けメニューとスイーツがよく売れ、アットフローズン全体で計画費の2倍ほどの売り上げとなっています」(青木氏)
リッチでレアな商品が予想以上に分かりやすく売れている。一方で、従来の冷食売場での主力商品(手ごろな価格の餃子など)は、通常の半分ほどしか売れないそうだ。
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