「仕事ができない人」に特有の、3つの思い込み:働き方の「今」を知る(5/6 ページ)
仕事ができる人とできない人の違いは何か。ちょっとした習慣や物事の捉え方のコツをつかめば、できない人を脱却できるかもしれない。「できない人の思い込み」を基に、そのヒントを解説する。
特にビジネス社会における強みとは、言い換えれば「相手にとって価値ある機能」であり、相手との個別の関係の中で生まれるものである。自分では「自信をもって語れる強みだ!」と確信していることでも、それが相手にとって重要ではない機能であれば、アピールにも強みにもならない。
一方で、自分では強みではないと思い込んでいることでも、提供される機能が相手や組織にとって重要であれば、それは間違いなく強みであり、確実に評価が得られるものなのだ。
実際、このような点が周囲から強みと評価されるケースはよくある。
- 自分では意識したり、力を入れているつもりもないが、周りの人から「すごいね」「○○が得意なんだね」「●●をやってくれてありがとう!」などと言われること
- 全然好きでもないし、「どっちかと言えば苦手」くらいだが、周りの人から「○○が向いてるんじゃないの?」などと言われること
- 別に好きでも嫌いでもないが、自分でやっていて苦痛ではないこと
あなたの本当の強みや長所は、「自分にとっては当たり前」という理由で、あなた自身には見えていないかもしれない。逆もしかりで、あなたが思う強みは、他者にとっては「これくらいは当たり前」と評されてしまう可能性もあるだろう。
そう考えると真の強みとは、あなたが「無意識に行動することで相手に価値を提供し、感謝されること」ともいえよう。どんな仕事であれ、目の前の人や組織に対して価値提供し続けることが求められる。普段のアクションを通じて、潜在的な強みに気付ければよいだろう。
同様に、あなたにとっての適職は、「CAN」「WANT」「MUST」の3つの輪の重なりで表現することができる。「CAN」=あなたにできること、「WANT」=あなたがやりたいこと、大切にしていること、「MUST」=(業務上で)あなたがやらねばならないこと、だ。
このうち、「CAN」と「WANT」はあなた次第でいかようにもコントロールできる。例えば、職場でリーダー的な役割を任されていれば、「人をまとめる」「スケジュール管理をする」「やる気になるよう働きかける」──といった具合に「できること」は数多く挙げられるはずだ。さまざまな経験を通して「CAN」の領域は広がるし、それに合わせて視野も広がり、興味のあること、関心を持つ対象である「WANT」の面積も広がっていくことだろう。
そうやってあなた自身の「CAN」「WANT」の領域が広くなればなるほど、さまざまな企業における「MUST」と重なり合う部分が増えるはずだ。まず、「CAN」と「WANT」の重なり合う部分があなたの「キャリアプラン」だ。例えば、CANが「リーダー経験」で、WANTが「人をやる気にさせ、売り上げが作れていくことの面白さ」であれば、「いずれは組織をマネジメントして、大きなプロジェクトを動かす立場になりたい」といったキャリアプランが導き出せるだろう。
「CAN」と「MUST」の重なり合う部分は、あなたの「強み」としてPRできる材料となる。CANが「リーダー経験」で、MUSTが「協調性を持ち、チームワークが取れる人」であれば、「営業部のマネジャーとして6人のメンバーをサポートしてきた。プレイヤーの役割を担いつつ、メンバーの教育係もこなし、忙しい中でも優先順位を考えながら任務をこなした結果、全員の目標が達成でき、メンバーから厚い信頼を得られた」といった形で自然なPRにつなげることができるだろう。
最後に、「WANT」と「MUST」の重なり合う部分があなたの「モチベーションの源泉」であり、就職活動や転職活動における「志望動機」にあたる部分だ。例えばWANTが「大学院で研究していた光の振る舞いや性質に関わる知見を生かしたい」、そしてMUSTが「医療に関心があり、自分の仕事に責任を持て、確実に役割を果たせること」であれば、「光学研究における知見が医療機器へ応用できると知り、医療機器開発の分野において、これまでの研究で培ってきた粘り強さと好奇心を生かしながら、高性能な製品開発に貢献したい」という前向きな意思をPRできることになる。
そして、CAN、WANT、MUST全てが重なり合う部分こそ、あなたの経験が生かせ、希望条件にも合致し、企業側のニーズともフィットするというまさに「適職」となる。
数百万社の企業における何千万件という求人からいきなり「適職を探し出せ」といわれても雲をつかむような話だが、ここまで述べてきたような、自身の体験と志向性、そして企業側のニーズから論理的に考えていけば、適職は確実に「気付く」ことができるのである。そのためにはまずは具体的な行動によって、自身の「CAN」と「WANT」の領域をできる限り大きく広げていけばよいのだ。
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