マツダCX-60は3.3Lもあるのに、なぜ驚異の燃費を叩き出すのか:高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)
マツダCX-60の販売状況が、なかなか好調のようだ。人気が高いのはディーゼルのマイルドハイブリッドと純ディーゼルで、どちらも3.3Lの直列6気筒エンジンを搭載している。それにしても、3.3Lもあるのに、なぜ燃費がよいのだろうか。
ガソリンエンジンとディーゼルの根本的な違い
だが、これまでの話はガソリンエンジンでも通用することだ。ダウンサイジングやライトサイジング、EGRは排気ガスを減らすための方法として広く使われている。今回はここからが本題だ。
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの決定的な違い、それは燃焼プロセスにあると言っていいだろう。ご存じのようにガソリンエンジンは燃料と空気の混合気を圧縮して、そこに火花を放つことで燃焼させる火花点火機関である。
それに対しディーゼルエンジンは、空気だけを圧縮して高温(500〜600度)になっているところに燃料を噴射して自己着火させる自己着火機関だ。
この2つに大した差はないと思われる方もいるかもしれない。しかし本質はこの後だ。ガソリンエンジンの火花機関は、吸入する空気も緻密(ちみつ)にコントロールする。それは、吸入する空気(に含まれる酸素)を全て燃焼させるために適正な燃料を噴射し、三元触媒をうまく機能させて排気ガスを浄化させるという目的も大きい。
燃え残りがあると排ガス中のHC(炭化水素)が増えるし、逆に空気が多くて燃料が薄いと燃焼温度が上がりNOx(窒素酸化物)が増え、最悪の場合エンジンブローにつながる。ガソリン車にとって空燃比は燃費以外にも大事なのだ。
それに対してディーゼルエンジンは、吸入する空気を絞り込むスロットルバルブを基本的には必要としない。その代わりに燃焼をコントロールするのは、燃料の噴射量だ。点火時期や吸入空気量(ターボチャージャーの過給圧は、EGRとの連動も含めて制御される)の代わりを燃料噴射のタイミングと回数、噴射量で行っているのである。
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