1万人が2億円支援→戦車購入──ウクライナ戦争のクラウドファンディング活用から分かる2つのこと(2/4 ページ)
ウクライナ戦争でクラウドファンディングの利用が進んでいる。そこから見える2つの教訓とは?
1万人が2億円支援 『スター・ウォーズ』シリーズ主役も関与
今回のウクライナにおける戦争の特徴といえば、誰もがウクライナ側によるSNSの活用(ゼレンスキー大統領の自撮り動画によるメッセージなど)をイメージするかもしれない。
しかし目立たないながらも大きな効果を発揮していると思われるのが、SNSを通じた、武器調達のためのクラウドファンディングの活用である。
具体的な例を挙げると、例えば、開戦直後にカザフスタン出身のビジネスマンがウクライナ軍へのドローン提供を目的に、オランダでクラウドファンディングのサイトを立ち上げ、6月にはその資金を元に86機もの空中監視用のドローンをウクライナ軍に届けているという。独国際公共放送ドイチェ・ヴィレ(DW)が4月6日付けの記事で報じた。
英公共放送BBCの報道(10月4日付け)では、東欧チェコのあるサイトが働きかけると、クラウドファンディングで1万人を超える資金提供者たちが「プーチンへの誕生日プレゼント」という名目で2億円近くを支援。ウクライナ軍にはT-72戦車などの軍事物資が提供されたという。
国際的なスターの力も借りている。「United24」というウクライナのサイトは、映画『スター・ウォーズ』シリーズで、ルーク・スカイウォーカー役を務めたことで知られるマーク・ハミル氏をアンバサダーに採用。同国軍に大量のドローンを調達する活動を行っていると紹介している。
ウクライナ当局側も、こうしたクラウドファンディングによる武器(ドローンや暗視ゴーグル、戦闘用のベストなど)の提供を高く評価。今回の戦争において欠かせない戦力となっていることを積極的に認めている。
古代ローマから続く「民間人による戦争への協力」
ちなみに「民間人による戦争への協力」という広い意味でとらえれば、今回のような現象は実は古くからあることがわかる。
例えば、第二次世界大戦中には、日本でも戦地の兵士を慰問するために千人針の腹巻きが現地に送られたり、日用品や娯楽用品を届けるための「慰問袋」を送るような習慣があった。これらも似たようなものだといえるかもしれない。
古代ローマ時代の例でいえば、イングランド北部のスコットランドとの国境沿いにある「ハドリアヌスの壁」(英国版「万里の長城」)には、ローマの民間人から前線に派遣されたローマ軍の兵士たちにサンダルや靴下などが贈られていたと書かれた石板が見つかっている。
ちなみにロシアにも、“ロシア版Facebook”とも呼ばれるSNS「フコンテクテ」などを使った、同様の活動があるという。軍のOBたちや兵士の母親たちの団体、さらには右派の活動家らが、歯磨きのような日用品から軍服、無線などを調達。装備を満足にそろえられていない末端の兵士たちに提供しているという。
つまり今回の戦争は、いわば「クラファン戦争」の様相を呈しているのだ。
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