そう来たか! クラウンクロスオーバーRS:池田直渡「週刊モータージャーナル」(6/6 ページ)
16代目新型クラウンの心臓ともいえるシステムはどのように変わったのか。実際にクロスオーバーRSに乗車してみたところ……。
パラフルな乗り心地
さて、乗ってみるとどうだったかといえば、さすがに2.5のTHS2システムよりかなりパワフルなのは確かだ。それより何より差として大きいのは、リヤモーターの出力向上による後輪の押し出し感の強さで、特にペースを上げていったときの接地の密度感の高さが全く違う。
デザイン的にもリヤタイヤの存在感を強調するボディスタイルだが、その形が表す世界観に恥じない蹴り出しを感じる。従来どうもRSグレードは感心しなかった筆者も、今回のRSは明らかに標準グレードと異質で、その存在価値を認めざるを得ないものとなっていた。
ただし、燃費の差は隠しようがない。たぶん高速でリッター20キロを頻繁に超えてみせるであろう2.5ハイブリッドに対して、2.4デュアルブーストハイブリッドは15キロを少し超えるくらいだと思われる。このあたりどちらも瞬間燃費を見ながらの予想なので、そのうち実際に長距離を走って確認してみる。
ということで、完成度が極めて高かったTHS2が唯一苦手としており、今まで手が届かなかったハイパワー領域に踏み込んだ出力と、強力なリヤの駆動力を手に入れたクラウンクロスオーバーRSは、ササる人にはしっかりササるクルマに仕上がっている。総合力を求めるなら2.5THS2、走りを求めるなら2.4デュアルブーストハイブリッド。住み分けはクリアになった。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
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