コラム
「休職期間中に勝手に副業」がバレた社員 懲戒処分になるのか:ポイントは“背信性”(1/2 ページ)
私傷病休職期間中の従業員が、土日に無許可で副業をしていることが判明しました。この場合、会社は、この従業員を懲戒することができますか。
「人事労務実務のQ&A」とは?
『人事労務実務のQ&A』は初任者からベテランスタッフまで全ての人事・労務関係者の実務に役立てられるよう、人事・労務に関するタイムリーな話題や、いまさら聞くに聞けない基本的な事項などをQ&A形式で解説する月刊誌です。
本記事は、2022年9月号に掲載された「労働契約締結の留意点」より「Q11 休職期間中に副業や兼業をしている場合は懲戒処分ができますか/【執筆】弁護士・盛太輔」を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集し、転載したものです。
Q: 休職期間中に副業や兼業をしている場合は懲戒処分ができますか
従業員が、私傷病休職期間中、土日に無許可で副業をしていることが判明しました。この場合、会社は、この従業員を懲戒することができますか。
A: 会社に対する一定の背信性が認められない場合以外は懲戒も可能
一概には言えませんが、諸事情を考慮して、当該副業には会社に対する一定の背信性が認められないといえる場合以外は、企業秩序違反行為として懲戒することができると考えます。
私傷病休職と従業員の療養専念義務
一般に、私傷病休職とは、労働者が業務外の傷病(私傷病)により、一定期間にわたり債務の本旨に従った労務提供が不能となった場合に、療養のため、一定期間、当該労働者の就労を免除または禁止する措置をいいます。
私傷病休職が適用された場合、労働者には一定の療養期間が与えられ、当該期間中解雇を猶予されることに鑑みれば、私傷病休職期間中の労働者は、信義則上、療養に専念すべき義務(療養専念義務)を負うと解されます。
関連記事
- スシロー、おとり広告で「信用失墜」し客離れ──それだけではない業績悪化のワケ
最近のスシローといえば、おとり広告の問題で景品表示法に係る措置命令を受けてしまった件は記憶に新しいことでしょう。こういった問題が起きるとどのような影響があるのかを「減損損失」という視点から見ていきます。 - 社長は「トヨダ」氏なのに、社名はなぜ「トヨタ」? “TOYODA”エンブレムが幻になった3つの理由
日本の自動車産業をけん引するトヨタ自動車。しかし、同社の豊田社長の名字の読み方は「トヨダ」と濁点が付く。なぜ、創業家の名字と社名が異なるのか? 経緯を調べると、そこには3つの理由があった。 - GMOの根幹にある「55カ年計画」とは? 安田CFOが明かす、市場や売上起点ではない経営
「CFOの意思」第6回の対談相手は、前編に引き続きGMOインターネットグループ副社長兼CFOの安田昌史氏。太陽黒点の周期に基づく「55カ年計画」と、目標達成が当然のGMO式経営とは? - 「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。 - 時給制の社員が、勤務時間が長い日にばかり有給を取得 なんとかできないのか?
一部の時給制の社員が、勤務の予定時間を長く設定した日に集中的に年次有給休暇を申請しています。勤務予定時間が長ければ長いほど賃金が高くなるため、他の社員から不公平だと声が上がってきました。どうすれば良いでしょうか。
© 日本労務研究会