クライアントが広告業界の脅威に!? ファミマも参入した「リテールメディア」の破壊力:新たなビジネスモデル(4/4 ページ)
小売業がメディアを生み出し広告収益へとつなげていく動きが強まっている。米国のアマゾンやウォルマートが先行している。日本でもファミマが参入するなど、勢いが強まっている。
リテールメディアが成果を出すには?
そのような広告マーケットで、リテールメディアが成果を上げていくために必須の事項を整理しました。
基本とすべきは、小売業や広告会社の広告売り込み視点ではなく、顧客である広告主視点のサービス設計をすることです。
(1):店の売り上げと無関係な業種の広告を展開しない
買い物中のユーザーに情報を押し付けることになり、ストアブランドにマイナスの影響を生じさせる可能性がある。あくまで買い物をサポートする情報提供の広告を基本とする
(2):店頭サイネージにはAIカメラを必ず内蔵させ、枠売りではなく視聴数に応じた広告課金とする
(3):店舗のポスターや横断幕など、効果が検証できず、月当たりの費用をもらうようなスペースブローカー的なメディアは商品化しない
必ず広告セールスが苦戦し、広告代理店任せになる状態を生み出す
(4):店舗の単一媒体だけを売り込むことはしない
必ずオンラインとオフラインを融合させるOMOモデルを重視し、店頭メディアとオンラインをつなげそれを購買データ・行動データにより検証する複合的なサービスを基本とする
(5):来店顧客に対するWebマーケティングと行動解析を高度化させるために店内にビーコン端末を設置する
ビーコンによって来店した顧客のスマホを捕捉することが可能になり、そのスマホに対して店外に出た後も広告配信をし、行動経路を分析(競合店の利用状況、広告配信後の来店率など)することに貢献する
(6):メーカーのリベートの費用から広告費を捻出するのではなく、メーカーの宣伝費をリテールメディアへシフトする
メーカーの商品担当ではなく宣伝担当と折衝することが必要
(7):広告主の業種、価格帯を加味した成果設計、提案書の整備
同カテゴリー平均値との比較や商品単価、販売点数から広告効果目標を設定。どのラインを達成すると「Good」で、どの数値未満が「Bad」と判断するかの指標を設計する。結果のデータが出て把握するだけという状態は避ける
(8):広告主がタイムリーに管理できるデータダッシュボードの提供
広告を展開したカテゴリーや売り場の来店客数、購買客数、各メディアの相関性を定量的に検証し、設計した基準をクリアしているか確認できるようにする
(9):共にマーケティングの精度を上げていくための広告主との定期的な改善会議の開催
データを出すだけではなく、そのデータをもとに次にどのようなアクションをしていくのか、必ず実行につなげていくサイクルを徹底する
(10):取得したデータは広告主のマーケティング活用だけではなく自社の売場作り、商品の品ぞろえへと活用していく
(11):広告業界や広告業務に精通していないコンサル会社とは決して組まない
以上が必須の事項です。
成果があるかないか不明瞭な広告枠を押し売りされれば、通常ほとんどの企業は断るはずです。
共に業績を上げていくパートナーとして、成果が検証できる仕組みをつくるために、冒頭で紹介したサッポロドラッグのように、広告会社やIT企業と連携をしてビジネスモデルとセールスの最大化を図ることが肝要です。
広告会社にとっては、このように共に新たな広告モデルをつくる支援をし、それが構築されたらメディアのセールス担当を担います。そうしたならば、リテールメディアが自社の脅威ではなく新たな広告プロダクトになります。
オンラインとオフラインを統合し、数値検証のできる広告モデルをつくる。そしてそのデータは従来の小売ビジネスにも活用し、メーカーとリテールが相互に業績を上げていく。この可能性を大きく秘めているのがリテールメディアです。だからこそ、前述した11のポイントをおさえた良好なリテールメディアが今後誕生することを願うばかりです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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