2023年に「統合報告書」はIFRS基準に サステナビリティ開示ルールはどう変わる?:GRIスタンダードなどから集約(1/3 ページ)
「統合報告書」や「サステナビリティレポート」におけるサステナビリティ開示基準が2023年に変更、IFRS基準にグローバルで適用される。準備しておくべきことについて解説する。
「統合報告書」や「サステナビリティレポート」におけるサステナビリティ開示基準が2023年に変更、グローバルで適用されることをご存じでしょうか。
これまでのサステナビリティ開示については、「GRIスタンダード」「CDSB」「SASB」「TCFD」など複数の開示基準を参照し、統合報告書やサステナビリティレポートを作成するという形式が一般的でした。しかし、22年11月上旬に気候調査プロバイダーで環境開示プラットフォームのCDPとIFRS財団の国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)において、CDPがIFRSの新しい気候関連開示基準の環境開示プラットフォームを取り入れると発表。これに伴い、23年第一四半期にIFRSサステナビリティ開示基準の最終版が公表される予定です。
この動向は、24年の開示サイクルから、CDPを通じて環境サステナビリティデータを報告する約1万8000社の企業が、自主的に現在ISSBが開発中のIFRS S2 Climate-related Disclosuresを利用して開示を始めることを促進します。このようなサステナビリティのIFRS化に基づき、今後のサステナビリティの開示のあり方と共に、統合報告書についてもIFRSサステナビリティの内容を包含したレポートであることが求められます。
今回は、「IFRS版統合報告書と企業の環境配慮対策の開示」というテーマで、今後のサステナビリティ開示とIFRS版統合報告書の作成のあり方を企業の環境配慮対策の開示(TCFDなど)との関係性を踏まえながら解説いたします。
また、文中の意見における記載部分につきましては、CO2等排出量の可視化・管理・オフセット・報告レポートが可能なサービス「ENERGY X GREEN」を運営するbooost technologies所属の筆者の私見であることをあらかじめお断りします。
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