クビは4種類ある──ツイッター社の大量解雇から学ぶ、日本の「クビ論」:働き方の「今」を知る(2/7 ページ)
ツイッター社が社員を大量解雇していると報じられた。外資系企業とはいえ、「解雇規制が厳しい」と言われる日本でいわゆる「クビ」を言い渡すことは法的に問題ないのか? そもそも「クビ」とは何か? 解雇を巡るさまざまな疑問を、ブラック企業アナリストの新田龍氏が解説する。
日本における「クビ」、4つのパターン
われわれが俗に「クビ」と呼ぶ「解雇」とは、会社の一方的意思表示によって従業員との雇用契約を解除することだ。わが国において解雇は、その原因別に大きく「整理解雇」「懲戒解雇」「普通解雇」の3種類が存在する。
整理解雇
経営不振による合理化など、経営上の理由に基づく人員整理として実施する解雇。「リストラ」とも呼ばれる。他2つの解雇とは違い、従業員側に直接的な落ち度はない。
懲戒解雇
会社の規律や秩序に違反した従業員に対して懲戒処分として実施される解雇。違反理由としては「犯罪行為」や「職場の規律違反」「業務命令違反」「機密漏えい」などがあり、懲戒処分としては、戒告、譴責(けんせき)、減給、停職などがある。懲戒解雇はこれら懲戒処分のうち最も重いものである。
普通解雇
上記以外の理由で、従業員側の「勤務成績不良」「能力不足」「協調性の欠如」といった、就業規則に定める解雇事由に基づいて実施される解雇。
退職勧奨
これらはいずれも会社側が一方的に契約解除を通告するものだが、似ているようで異なるものとして「退職勧奨」という手続きが存在する。
会社側が、退職してほしい従業員と個別に交渉して、自主退職を促すこと。会社からの一方的な処分ではなく、本人の合意があってはじめて成立する。
ツイッター社の「クビ」はどれ?
では、一般的に「外資系企業ではあっさりクビになる」という文脈における「クビ」と、今般の米ツイッター社(および日本法人であるツイッタージャパン社)で実施されている「クビ」は、それぞれどれに当てはまるのだろうか。
答えは、前者が「退職勧奨」であり、後者は「整理解雇」にあたる。ちなみにわが国で実施した場合、前者は「合法」だが、後者は「適法性が厳格にチェックされる」という大きな違いがあるのだ。
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