クビは4種類ある──ツイッター社の大量解雇から学ぶ、日本の「クビ論」:働き方の「今」を知る(3/7 ページ)
ツイッター社が社員を大量解雇していると報じられた。外資系企業とはいえ、「解雇規制が厳しい」と言われる日本でいわゆる「クビ」を言い渡すことは法的に問題ないのか? そもそも「クビ」とは何か? 解雇を巡るさまざまな疑問を、ブラック企業アナリストの新田龍氏が解説する。
「退職勧奨」と「整理解雇」の大きな違い
退職勧奨
「退職勧奨」とは、対象社員に「辞めろ!」と迫って追い出すのではなく、「会社の業績/あなたの評価が振るわないので、これ以上在籍しても、今後職位も給料も上がらないかもしれない」「でも今辞めると、特別に割増退職金が多めにもらえるなどのメリットがあるよ」といった形で交渉して合意を取り付け、本人の意思で「分かりました。じゃあ辞めます」と言わせ、本人から退職願を提出させる方法である。
会社からの一方的な処分ではなく、本人の合意があって成立するものであるから、違法性はない。実際、これまで退職勧奨に関して争われた裁判においても、退職勧奨の「進め方」(本人が退職を拒否しているのに執拗に要求を続ける、脅迫的な言動をとるなど)が問題視されたことはあったが、社員に対して「会社が退職勧奨をすること」自体はなんら問題ではない、との判断になっている。
整理解雇
一方で、今般の米ツイッター社における「整理解雇」とは、会社業績の悪化を原因とし、業務縮小などによる財務状況改善を目的に実施する、文字通りの「クビ」だ。
会社都合の解雇であるから、わが国では「客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要」(労働契約法16条)とされ、その有効性は厳しく判断される。会社側は自由に解雇することはできず、恣意的な解雇は無効とされてしまうのだ。
具体的には、下記の4つの要件を満たしているか否かとの観点から判断される。
1.人員削減の必要性があること
2.解雇を回避するための努力が尽くされていること
3.解雇の対象者の人選基準、選定の方法が合理的であること
4.解雇前に、解雇の対象者への説明・協議を尽くしていること
もし、不当解雇として裁判になり「解雇の合理性や相当性がない」と判断されて会社側が負けた場合は、会社側は従業員に対して「解雇とされていた期間中に本来支払われていたはずの未払い賃金」もしくは「解決金」を支払わなければならない。
ちなみに解決金の相場は、解雇時点における賃金の3〜6カ月分程度。さらに、解雇の理由がないことが明らかなケースでは、賃金の1年分程度の解決金となってしまう可能性もあるのだ。
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