「不快な気持ちを抱かせた」「誤解を招いた」はなぜNG? 炎上から企業を守る、正しい対応とは:「炎上」の正しい回避法(2)(2/5 ページ)
ネット上でネガティブな意見が爆発的に広がってしまう「炎上」。本来なら「局所的な騒ぎ」で済むような内容でも、一つ対応を間違えると全国規模の炎上へと発展し、深手を負ってしまうことがある。では、具体的にはどのように対応したらいいのか?
炎上発生時の理想的な対応フロー
これらを踏まえ、炎上発生時の理想的な対応フローを、以下の4段階に分けて解説する。
(1)事実関係の調査・把握
批判意見が多いように見えても、それが全く筋違いの、妥当ではないものであったり、直接的な顧客層とは無関係の集団(クラスタ)内でとどまっていたりする限りは、特段深刻な問題ではないと考えてよい。
批判意見を問題視すべきなのは、批判している主体が「自社にとって主たる顧客層」である場合と、明らかに自社に非がある批判意見が、特定のクラスタにとどまらず、不特定多数の目に触れてしまっている場合だ。これらはすなわち「ネガティブな口コミ」となり、自社商材の選定や購買判断にあたり、マイナスの影響をもたらしてしまうだろう。
確認すべきは次のような点である。
現状確認
- どのような批判意見が拡散しているのか
- 何が批判の原因か
- 批判されている内容は事実か
- 誤解や筋違いの妥当性がない意見だとすれば、事実は何か
- 批判意見が特定クラスタにとどまらず、不特定多数の目に触れているか
- 原因が自社発信の情報にあった場合、それはいつ、誰が、どこで(どの媒体で)、どんな言動/行動をしたのか
- 批判対象となっている自社発信情報の内容は事実か
- そもそも、発信者はなぜそのような言動/行動をしたのか
- 発信者本人は、当該時点でどのような対応をしているのか
- 情報拡散によって、個人や会社への批判、誹謗中傷、電凸など、実被害が発生していないか
- 発信情報や発信者の言動/行動に、法令や内規、社会的規範から逸脱したところはないか
まずはこのように、批判意見に対して事実確認を早期に行うことが重要だ。
できれば少数精鋭の調査チームを組成し、権限を与えて迅速に確認を進めるべきである。事実を正確に確認せぬまま、批判拡大を恐れて場当たり的な判断を下すことは非常に危険である。合わせて、ネット上での論調を把握し、理解することも必要だ。ユーザーが何に対して批判しているのか理解できなければ、その後の対応も適切にできない。それどころか、逆に「本質が分かっていない」とさらなる批判につながる可能性もあるだろう。
最初に話題となったSNSのクラスタを超えて批判意見が拡散し、不特定多数の目にとまり、多くのネットユーザーから批判的な意見が集中的に寄せられ、自社がターゲットとする顧客層からの批判にまで至ってしまったら、残念ながらそれは、まさしく炎上だ。
これら事実確認と論調の把握ができ、判断材料がそろった段階で、今後の対応方針を策定し、対応内容を早急に検討することになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「課長まで」で終わる人と、出世する人の決定的な差
「『課長まで』で終わる人と、出世する人の決定的な差」とは何か? がむしゃらに働いても、出世できる人とそうでない人がいる。その明暗を分けるたった1つのポイントを、解説する。
アマゾンで増える「送料ぼったくり」被害 “誰だって気づくはず”の手口のウラ側
Amazonで“ぼったくり”な送料を設定する業者から、意図せずに商品を購入してしまう被害が後を絶たない。一見単純なシカケに、引っ掛かってしまう人が少なくないのはなぜなのか? “誰だって気づくはず”の手口のウラ側を探り、問題の本質に迫る。
“スーツ姿の客”がネットカフェに急増 カギは「PCなし席」と「レシートの工夫」
コロナ禍で夜間の利用者が激減し、インターネットカフェ業界は大きな打撃を受けた。そんな中、トップシェアを誇る「快活CLUB」では、昼にテレワーク利用客を取り込むことに成功、売り上げを復調させた。そのカギは「PCなし席」と「レシートの工夫」にあるという。どういうことかというと……。
月給35万円のはずが、17万円に……!? 繰り返される「求人詐欺」の真相
求人票に記された情報と職場実態が大きく異なる、「求人詐欺」が後を絶たない。洋菓子店マダムシンコの運営会社の元従業員は「月給35万円との約束で入社したが、実際は月給17万円だった」として労働審判の申し立てをしている。求職者を守る法律や求人メディアの掲載基準もあるにもかかわらず、なぜ求人詐欺はなくならないのか? ブラック企業アナリストの新田龍氏が実態に迫る。
アマゾンの新しい返品方法 お金を返し、商品は回収しない──なぜ?
米国は、日本に比べて返品OKの小売店が多い。米アマゾンなどの大手小売りでは、返金するのに商品は回収しない「Keep it」という新しい返品方法が進められている。なぜ、このような手法を取るのか?
