連載
なぜ、「AOKI」がひとり勝ち? 会社を救った大ヒット商品と、紳士服以外の事業:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
紳士服4大チェーンで、「AOKI」を展開するAOKIホールディングスが復活を果たしつつある。競合他社は苦戦しているのになぜなのか? 背景を探っていくと……。
快活クラブの飛躍
それ以上のインパクトを与えているのが、快活クラブの飛躍だ。近年のネットカフェは、漫画が読めるだけでなく、ビリヤード、ダーツ、カラオケなどもできる複合カフェに進化している。
また、コロナ禍で個室のニーズが増大しており、快活クラブは完全防音の鍵付き個室の設置を推進。家でリモートワークに集中できない人のための仕事場として、重宝されている。音が外に漏れないので、声を出してリモート会議もできる。途中外出も可能だから、利用時間中にコンビニなどにも行ける。
快活クラブの店舗数は、19年3月末には366店だったが、22年3月末には504店にまで増えた。コロナ禍で約140店もの大量出店を敢行した。AOKIからの業態転換が多く、複合店も増えている。スーツの販売とリモートワークの場所提供は、シナジー効果も見込め、これまで別々に見えた紳士服とネットカフェの事業の顧客が重なってきた。
パジャマスーツを購入した顧客が、鍵付き個室でリラックスしてリモートワークをするという新しい働き方を、ストーリーとして具体的に示した。それが、快活クラブがヒットした要因だ。
ネットカフェ業界で、店舗数1位が快活クラブ、2位が自遊空間だ。その自遊空間もAOKIの傘下に入った。AOKIはネットカフェでの圧倒的な勝者となった。
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