やっぱり日本は遅れているのか 技術面だけでは語れない、FCVやEVの世界:高根英幸 「クルマのミライ」(2/6 ページ)
トヨタ自動車からFCVの「MIRAI」が発売されているが、「水素社会はまだまだ先のこと」と感じている人が多いかもしれない。国内で水素エネルギーの利用は進んでいるが、海外と比べて進んでいるのか、それとも遅れているのか。
韓国で水素が急速に普及している理由
韓国では水素エネルギー利用の普及が急速に進んでいる。水素利用はどちらかと言えば後発で、FCVに限って言えば、日本のほうが少数生産のリース利用も量産車の発売も早かった。しかし、現在は世界シェアで見れば、トヨタよりも現代自動車のほうが圧倒的に上なのである。
韓国の「水素融合アライアンス(H2KOREA)」が主導して、米国や英国、欧州、オーストラリア、中国など18カ国の水素協会が参加する「グローバル水素産業連合会(GHIAA)」が2022年半ばに発足している。これには日本は参加していないし、水素関連で国際的な取り組みはほとんど行っていない。
現代自動車のFCV、NEXO。人気の高いSUVということもあり、世界市場ではトヨタMIRAIの販売台数を大幅に上回っている。技術的には負けていなくても、戦略の巧みさや熱心なロビー活動など日本が見習うべき部分もありそうだ
韓国はわが国同様、エネルギーの供給を輸入に頼っている。そのためエネルギーの多様化は必須であるが、韓国と日本との差が開いている理由はそれだけではない。
財閥系が国を支えているとはいえ、国を挙げて開発したり、海外に売り込んだり、とにかく熱心なのだ。一方の日本企業は、技術力も高く努力もしているが、国の機関によるバックアップが不足している感が否めない。
さまざまな次世代エネルギーについてNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)も結局、予算を計上して民間に実証実験や研究開発を委託しているに過ぎない。
国内企業の技術力を高めることが、結果的に国際競争力を高めることにつながるという考えも理解できるが、それだけでは不十分なのだ。鉄道事業を見ても、交渉の場で何度も中国や韓国に負けてきた経緯を見返せば分かる通り、技術力だけでなく態度で示さなければ、ビジネスには結びつかないのである。
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