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やっぱり日本は遅れているのか 技術面だけでは語れない、FCVやEVの世界:高根英幸 「クルマのミライ」(4/6 ページ)
トヨタ自動車からFCVの「MIRAI」が発売されているが、「水素社会はまだまだ先のこと」と感じている人が多いかもしれない。国内で水素エネルギーの利用は進んでいるが、海外と比べて進んでいるのか、それとも遅れているのか。
スピード感や先進性も重要
また国内に関しては超小型モビリティの制度制定に時間がかかり過ぎて、開発していたメーカーたちのやる気を削いでしまったことは記憶に新しい。ざっくりと表現するなら国内は規制でがんじがらめ、海外に対しては消極的というのが日本の自動車行政の特徴ではないだろうか。
航空貨物に関しても韓国は積極的に展開し、仁川空港はアジアのハブ空港にまで急成長させることに成功している。日本国内の物流システムは非常に高効率で正確だが、国際競争力はそれほど高くない。
EVに関しても発火事故がほとんどないという実績は誇りだとしても、それを優先事項として選択するのは、日本のユーザーくらいだろう。かつて米国では顧客満足度の高さが販売に大きく影響したが、テスラは割り切った販売方法やサポートでも売り上げを伸ばしている。
日本市場はいささか神経質なくらい、品質面にこだわっている。それが日本人気質であり、それが強みとなってこれまでの発展を勝ち得てきた。だが、そのままそれを続けるというのは、いささか稚拙(ちせつ)ではないだろうか。
それが日本車の品質の高さとして海外でも認められているのはいいが、先端技術においてはスピード感や先進性も重要なのである。
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