鉄道各社は苦況なのに、なぜJR東海は「大幅な業績回復」を成し遂げたのか?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(1/6 ページ)
JR東日本に限らず、鉄道各社の多くは厳しい状況にあります。しかし、そんな中で業績回復が一際早いのがJR東海として知られる東海旅客鉄道です。同じ鉄道事業者なのになぜ、違いが現れたのか? そのギモンを決算書から読み解き、JR東日本と比較しながら解説します。
決算書から各企業の動向、引いては日本経済を読み解く連載「決算書で分かる日本経済」。12月は、全国旅行支援の影響が注目される移動・交通・レジャー関連の企業を取り上げます。
前回の記事では、JR東日本の苦しい現状について解説しました。売上高や純利益を見てもコロナの影響は顕著である上、都市開発事業には巨額の投資が必要であるため、コストカットは必須の状況です。そのため不採算線区の廃止や、オフピーク定期券の推奨などに取り組んでいます。
前回の記事
JR東日本に限らず、鉄道各社の多くは厳しい状況にあります。しかし、そんな中で業績回復が一際早いのがJR東海として知られる東海旅客鉄道です。同じ鉄道事業者なのになぜ、違いが現れたのか? そのギモンを決算書から読み解き、JR東日本と比較しながら解説します。
JR東海は鉄道事業をメインとしていますが、駅を中心とした都市開発も進めています。この点はJR東日本と同じですね。
まずはここ数年の業績の推移を見ていきます。
売り上げの推移を見ていくと、コロナの影響が出始めた20年3月期に多少の悪影響が出始め、19年3月期は1兆8781億円でしたが、21年3月期は8235億円と大きく悪化しました。22年3月期も9351億円とコロナ以前の半分程度の額にしか戻っていません。
利益面に関しても、21年3月期は2015億円もの赤字となり、22年3月期も519億円の赤字と苦戦が続いています。コロナの影響が大きかったことが分かりますね。
JR各社は駅を起点として商業ビルの開発やホテル開発などの都市開発も手掛けているわけですが、そちらも当然駅の利用者が減ってしまえば悪影響が出ます。このため、駅を起点とした移動を軸に事業を展開していたJR各社はコロナの影響を大きく受けてしまっています。
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