人口1075人の村でも黒字を実現 セコマ会長が「過疎地への出店は福祉ではない」と語る理由:後編(2/4 ページ)
「奇跡のコンビニ」として知られる「セイコーマート初山別店」。人口1200人でまさかの黒字経営を実現した要因は──。セコマの過疎地への出店に対する姿勢を取材した。
「イカそうめんが食べたい」「漬物用に黄色いザラメが欲しい」
初山別店は、14年に開業した当初は赤字だったが、開業から8年を迎えた現在は黒字経営を実現している。開業当初の人口は約1200人だったが、現状は1075人(22年11月30日現在)。人口は減少しているのに、客単価がぐんぐん上がり、売り上げは好調だ。
客単価向上の要因は「住民の要望を聞くこと」だという。初山別店をはじめとした過疎地域では、利用者からの要望を聞いて、標準店舗では用意していないさまざまな商品をそろえている。
「例えば、『刺身が食べたい』『どうしてもイカソーメンが食べたい』『たくあんを漬けるために黄色いザラメが欲しい』といった要望に応えて、商品をそろえています。コンビニには絶対にないような商品も、その人のために用意するんです。物流や製造の機能もあるため、比較的すぐに商品を用意できています。他にも、花や野菜の種、大容量の調味料なども用意しています。こんなの置いているの? と驚く商品が多くて、面白いですよ。
一つ一つ要望に応えていくことで、お客さまはセコマで買い物を完結できるようになります。お客さまとの関係が一層深まった結果、客単価が向上し、黒字化したのだと考えています。『地域の役に立てれば、大きな赤字にさえならなければいいかな』と始めたことが、お客さまに喜ばれ、さらに黒字になったのですから、こんなにいいことはないですよね」(丸谷会長)
セコマでは、客と店員のコミュニケーションが活発に行われる。「おばあちゃん元気だった?」「久しぶりだね」「新しく入ったお菓子、おいしいから買わない?」という会話が普通に聞かれる。客と店員のコミュニケーションが活発だからこそ、一人一人のニーズを聞き出すことができ、顧客満足度向上に寄与しているのだ。
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