違法・無報告・無規制な漁業で枯渇する資源 回復を目指すための「ブルーシーフード」とは?:企業の先進事例(2/5 ページ)
ロックフェラー家の当主デビッド・ロックフェラー・ジュニアさんが2004年に設立した海洋保護を目的としたNGO団体「セイラーズ フォー ザ シー」。企業や自治体を通して「ブルーシーフード」を普及させようとしている。日本支局のトップに「ブルーシーフード」の可能性を聞いた。
マクセルが社員食堂で提供
――企業以外にも、例えば自治体では東京都が積極的に海洋保護に取り組んでいるようですね。
東京都は21年には弊社と、持続可能なシーフードを普及させるために教育と啓蒙をしていく包括協定を結び、22年7月にはブルーシーフードガイドの東京都版を発行しました。今年から都は社外の有識者を招き、政策についての政策懇談会を始め、海洋保護政策について私も基調講演を務めました。
――企業では京都府の電気機器メーカー、マクセルが社員食堂で毎週必ずブルーシーフードを使ったランチを出しているのですね。
マクセルさんは継続的に頑張ってくれています。特に社食のブルーシーフードランチは、一番の売れ筋になっているそうです。「すぐなくなる」と聞きました。
本業で何かできなくても、企業による海洋保護への携わり方にはこんな方法もあります。同社は外部に向けて宣伝していることもあり、ブルーシーフードの存在が社員へも浸透しているようです。毎週ブルーシーフードランチが提供されることによって、持続可能性への具体的な取り組みが日常に定着していく好事例だと思います。
――社員に理解を深めてもらうことが、企業自体の価値向上にもつながっていくということですね。
そうですね。「自分たちと水産業は結び付かない」と思われがちですが、業種にかかわらず必ずできることがあるのです。それを体現してくださっているのがマクセルさんの社食ですね。
――パン業界の敷島製パン(Pasco、パスコ)もブルーシーフードに取り組んでいると聞きました。
パスコさんは数年前に盛田淳夫社長自ら「ブルーシーフードで何かできることありませんか」とご連絡をくださいました。
同社は18年に「ゆめちから入り塩こんぶチーズパン4個入」を開発し発売しました。この「こんぶ」は、ブルーシーフードに認定していて、パッケージに「ブルーシーフードガイド」のマークを記載してくださいました。国内食品メーカーとして初めての試みでした。
その後も季節商品などで何シリーズも出してくださっています。一般の方がパッケージで見られる商品以外にも、企業向けの素材なども出してくださっているようです。
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