「オンラインだけではAmazonに勝てない」 セブンがアプリで広告を配信する狙い:リアル店舗の強みを生かす(1/4 ページ)
セブン‐イレブン・ジャパンはリテールメディアに本格参入した。「小売りを手掛けるセブン&アイが広告を売る」、その仕組みはどうなっているのか。Amazonに勝つための、小売りならではの強みとは?
セブン‐イレブン・ジャパン(以下、セブン‐イレブン)は「セブン-イレブンアプリ」を活用してリテールメディアに本格参入した。「小売りを手掛けるセブン‐イレブンが広告を売る」、その仕組みはどうなっているのか。また、同社が広告に参入する意義はどういった部分にあるのか。商品本部 リテールメディア推進部の杉浦克樹総括マネジャーに話を聞いた。
リテールメディアへの注目が高まる
電通の「2021年 日本の総広告費」によると、21年にインターネット広告費がテレビCMや新聞などのマスコミ四媒体広告費を初めて上回った。年々好調に広告費を伸ばし、好調に見える「ネット広告」だが、米国のグーグルやアップルのCookie規制によって、大きな転換期を迎えている。
そんな中、注目を集めているのが「リテールメディア」だ。リテールメディアとは、小売店が持つ顧客との接点を生かし、広告のプラットフォーマーとなる取り組みだ。小売店が持つ顧客データ=ファーストパーティデータを利用して広告配信ができるため、Cookie規制の追い風もあり、昨今注目を集めている。
セブン-イレブンアプリ 登録者数は1900万人超え
セブン-イレブンアプリ(以下、セブンアプリ)は、セブン‐イレブン(以下、セブン)全店舗で利用できるアプリ。電子決済やクーポンの配布、商品やキャンペーン情報の発信を行っている。また、店舗別で緩やかな在庫連携をしており、「どこの店に、特定の商品があるかないか」を可視化。快適な買い物ができるように支援をしている。
登録者数は直近で1900万人を超える。月間アクティブユーザーは500万人程度、1日当たりの利用者数は170万〜180万人だという。杉浦さんは「他の小売りと比較しても毎日の利用が多いのが特徴で、鮮度のいいデータをお客さまから提供していただいています」と話す。
アプリでは、氏名や年齢、居住地などの基本情報のほかに、「どこの店で購入したか」「どんな時間に、何の商品を、いくら購入したか」など、セブン店舗で商品を購入した際の情報を取得している。取得したデータは、購入頻度の高い商品のクーポンを配布するなど、ユーザー個人に適している情報を届けるために活用する。
「セブンには毎日2000万人近いお客さまが来店します。今まではその2000万人のPOSデータから『何が、いつ、どれくらい売れた』という情報を取得していました。しかし、『お客さまを特定すること』はできていませんでした。セブンアプリがあることで、『誰が』という情報が明確になり、購買行動に基づいた販促、マーケティング活動を実施できるようになりました。50年の歴史の中で、比較的マスマーケティングが中心であったセブン‐イレブンですが、スモールマス、パーソナライゼーションに踏み込めるようになったのは、すごく大きな強みになると感じています」(杉浦さん)
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