「ボーナスに不満な社員」に対し、経営者がやるべきたった1つのこと:7割が不満(2/3 ページ)
今年も多くの会社で年末ボーナスが支給されましたが、会社員の中には支給額に対して不満を持つ人も多いようです。こうした社員の不満を抑える方法について考えます。
企業業績からボーナス原資を決める仕組み
会社の業績は調整係数に反映されます。会社の業績からボーナス原資(対象者全員でこれだけ支給するという額)を決め、これをもとに調整係数を決めます。ボーナス原資は、具体的には次の式で決めます。
ボーナス原資=売上総利益×予定労働分配率−既払い人件費
売上総利益は売上高から売上原価を引いた数字であり、人件費や諸経費などの「販売費及び一般管理費」を控除する前の利益です。
予定労働分配率とは「売上総利益の○○%を人件費として社員に分配する」というものです。人件費とは給与とボーナスの合計額です。予定労働分配率は過去5年程度の実績を参考にして、ボーナス算定対象期間に入る前に決めます。決めたら社内に公表します。ちなみに財務省の「法人企業統計」によると、法人企業全体(金融保険業を除く)の労働分配率は2021年で42%です。
既払い人件費とはボーナス算定期間中にすでに支払った月給(基本給、諸手当、超過勤務手当)であり、ボーナス以外の人件費のことです。
要するに「売上総利益の○○%を標準的な人件費とする」と事前に決めておき、そこから実際に支払った基本給や諸手当、超過勤務手当などの月給を引いて、余った分をボーナスとします。
基本給と諸手当はほぼ固定費なので、ボーナス原資はおおむね売上総利益と超過勤務手当に依存します。つまり社員が効率的に仕事を進めるほどボーナス原資が大きくなります。表4はこの数値例です。
表4:ボーナス原資の決定例
売上総利益 | 10億円 | ボーナス算定対象期間中に実際に得られた「売上高−売上原価」 |
---|---|---|
予定労働分配率 | 42% | 売上総利益に対する「給与・ボーナス」の割合。事前に決定。 |
予定人件費 | 4億2000万円 | 売上総利益×予定労働分配率 |
既払い人件費 | 3億2000万円 | ボーナス算定対象期間中に実際に支払った月給 |
ボーナス原資 | 1億円 | 予定人件費−既払い人件費 |
このようにボーナス原資の決め方をガラス張りにして、そこから導き出された額をもとにボーナス算定式の調整係数を決めます。表3の数値例で調整係数が3.23であるのは、ボーナス原資である合計支給額が500万円近傍になるようにした結果です。
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