年間4万件の「声」は、味の素「Cook Do」をどう変えたのか:会話内容を全て読み込む(5/5 ページ)
「クレーム対応に追われてしんどい」といったイメージが根強いコールセンター業務。味の素は、消費者からの意見を活用し、商品開発につなげている。1問1答ではなく、「会話力」を重視する理由は?
カスハラ対策も強化 平均勤続年数は「10年」
電話対応は問い合わせ件数の多さなどに追われ、高い業務負荷に疲弊するケースが多い。また、昨今注目を集めている、顧客が従業員に対して悪質なクレームや不当な要求を突きつける迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の被害が多いことも特徴だ。味の素グループでは、どういった対策を実施しているのか。
「カスハラ対策では、お客様相談センターが集まる専門家会議に参加するなど情報収集・情報交換をしつつ、対応するためのFAQを作っています。オペレーターで対応するのが難しい場合は、スーパーバイザーに交代。スーパーバイザーがカスハラにあたると判断した場合、すぐに社員と連携し、同時に音声を聞きながら終了の方向に持っていくように指示を出しています」(応対統括グループ 中曽根さん)
業務の効率化も強化している。販売店検索システムやFAQシステムを構築・導入したり、文字起こしシステムを使用したり、業務軽減の支援をしている。
一般的に離職率が高いとされるコールセンター業務だが、味の素グループのお客様相談センターは、平均勤続年数が10年。どういったフォローをしているのか。
「オペレーターは『うまくいかなかった』『強いことを言われた』など、ストレスを感じてしまうことが多いです。朝礼や夕礼で声掛けをしストレス状態を逐一チェックし、『翌日に残さない』ようにしています。
教育体制も手厚く、入社してからの3カ月はスーパーバイザーと並走して電話を取るなど、心理的安全性が高い状態を保つことを意識しています」(応対統括グループ 中曽根さん)
今後はチャットボットの活用も強化
現状は電話、メール、手紙でのやりとりがメインだが、今後はチャットボットの活用、YouTubeでの情報発信なども強化する姿勢だ。
「お客さま相談センターに寄せられるご意見はじわじわと減少しています。お客様が満足してくれていることもありますが、お客様相談センターが開いている時間帯に電話をできる人が減少していることも原因だと考えています。センターが開いていないときでも気軽に問い合わせができる環境を整備していきたいです」(企画・情報統括グループ 小宮山さん)
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