ディズニー、アトラクションの有料予約に価格変動制──入場者を減らしたままでもやっていけるのか?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/4 ページ)
今回取り上げるのはオリエンタルランド。ディズニーランド/シーの運営を中心に事業を展開している企業です。近年は新型コロナの流行以前に比べて入場者数を抑えた状態が続いている他、ダイナミックプライシングを導入したり、有料の予約サービス「ディズニー・プレミアアクセス」を開始したりとさまざまな変化がありました。
まずは入園者数ですが、コロナの影響がなかった20年3月期の第2四半期時点では1573万人の入園者がいましたが、現在は894万人。43.2%も減少した状況が続いています。
一方でゲスト1人当たりの売上高は1万1504円から1万5683円になり、4179円(36.3%)増加しました。
コロナの影響が残り入園者数が減少しているものの、それを大幅な1人当たりの売り上げの上昇で補う形で今回の業績となっているということですね。
コロナの影響がさらになくなっていくと考える中、入園者数は上期の894万人に対して下期は約1100万人まで増加し、計2000万人に達するとオリエンタルランドは予想しています。コロナ禍前の19年3月期は、下期で1700万人ほどの入園がありました。これと比べると、600万人(35%)も減少した状況は続く見通しです。
しかし、単価は1万1815円から1万5551円まで上昇する見通しです。そこから下期の単純な売り上げを出してみると、
- 1700万人×1万1815円=約2008億円
- 1100万人×1万5551円=約1710億円
とコロナ禍前の14.8%減の水準まで回復すると考えられます。下期は85%程度まで売り上げの回復が見込めているということですね。
利益面に関しては、23年通期の見通しで営業利益が800億円となっています、第2四半期時点では380億円、下期は420億円の営業利益を見込んでいます。コロナ禍前の19年3月期の下期の営業利益は674億円のため、利益面は62%程度の回復です。
売り上げ、利益ともにコロナ以前の状況にもどる見通しではなく、さらに業績を回復させていくためには、今後さらに客数の回復を進める必要があります。
全国旅行支援などがありレジャー需要が回復していますから、客数は増えていくでしょう。そういった中で高単価を維持していくか、価格の調整を生かしてどのように需給の調整をしていくかにも注目です。
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