「立ち寄りたくなる」ために何を見せるのか ららぽーとが取り組む“視覚”の効果:データを活用して「入店率」に差(1/4 ページ)
三井不動産は大型商業施設「ららぽーと」で、各店舗への入店率を高めるための取り組みを始めた。マネキンやデジタルサイネージに対する通行者の反応を計測。店頭で何を見せるかによって入店率に差が出ることが分かった。
お店の前で思わず立ち止まったり、予定していなかった店に入ってみたりした経験は誰しもあるだろう。何にひかれて入店しているのか。店構えや商品展示、メニューの掲示など、視覚から得る情報が大きな要因になる。
大型商業施設を運営する三井不動産は、ディスプレーなどの工夫によって顧客が「立ち寄りたくなる」店づくりを目指す、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)の取り組みを始めた。
「三井ショッピングパーク ららぽーと TOKYO-BAY」(千葉県船橋市)で2022年10〜11月に実証実験を実施。AIカメラなどを使い、マネキンやデジタルサイネージといった店頭ディスプレーが入店率などに与える影響を検証した。
「入りたくなる」店へ、データ提供で支援
ららぽーとのような大型商業施設で、各店舗への入店率を高めるための取り組みがなぜ必要なのか。同社DX本部 DX二部 DXグループ 技術統括の越智将平氏は「コロナ禍以降、施設全体として集客が課題になっています」と話す。加えて、ECの普及も進んでおり、リアルで買い物に来てもらうためには「見て楽しい」「入りたくなる」要素が必要になっている。
「商業施設もテナントさんに店舗運営をお任せするだけではなく、役立つデータの収集や提供といったデジタルの支援が必要だと考えています」(越智氏)
今回の実証実験は、TSIホールディングスが展開するアパレルショップ「nano・universe(ナノ・ユニバース)」で実施した。AIカメラ2台と赤外線センサー4台を使用して、2カ所の店舗入り口で通行者の動きを計測。ディスプレーの違いによって客の反応や入店率に変化が出るか検証した。
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