「立ち寄りたくなる」ために何を見せるのか ららぽーとが取り組む“視覚”の効果:データを活用して「入店率」に差(2/4 ページ)
三井不動産は大型商業施設「ららぽーと」で、各店舗への入店率を高めるための取り組みを始めた。マネキンやデジタルサイネージに対する通行者の反応を計測。店頭で何を見せるかによって入店率に差が出ることが分かった。
ディスプレーに違いを出すために使用したのは、マネキンに着せる服のコーディネートとデジタルサイネージに映す映像だ。それらを組み合わせて8パターンのコンテンツをつくり、1パターンにつき1週間ずつ展示した。
「マネキンにどういったテイストのコーディネートで商品を着せれば、最も見てもらえるか。そしてその後、お店に入ってもらえるか。パターンごとにお客さまの反応を細かく計測しました」と、DXグループ 技術主事の岩本昌丈氏は説明する。
マネキンのコーディネートは店舗スタッフにパターンを組んでもらった。コートの色を変えたり、ビジネス風やカジュアル風といったコーディネートのテイストを変えたり、シーンや年齢のターゲットを変えたりして着せ分けた。
一方、デジタルサイネージのコンテンツは、ブランドイメージを訴求する週(ロゴマーク、ブランドを象徴するイメージ映像)、商品を訴求する週(着用したモデルの映像、目玉商品の紹介)、会員募集をPRする週(会員登録やキャンペーンの案内)といったように、1週間ごとの内容を用意。また、音や動きの有無についても、1週間の中で期間を区切り、両パターン実施した。
「普段はその時期におすすめしたい商品などを展示していますが、今回の実験で、実際にお客さまがどう反応しているのか明らかにすることを目指しました」(越智氏)。計測したのは、通行者のうちディスプレーを視聴した人数、視聴時間(1秒未満、3秒程度、5秒以上など)、ディスプレー設置場所までの入店者数、店舗の奥まで入っていった人数などだ。“入店”のポイントに絞って、ディスプレーとの関連を細かく検証した。
関連記事
- 「サクマ式ドロップス」製造元が廃業に追い込まれた、これだけの理由
「サクマ式ドロップス」を製造する佐久間製菓が2023年1月に廃業する。廃業の理由として、同社は「コロナ」と「原材料高騰」の2つを挙げているが、本当にそうなのか。筆者は違った見方をしていて……。 - 「マルチ商法の優等生」アムウェイは、なぜこのタイミングで“お灸”を据えられたのか
日本アムウェイ合同会社に対して、消費者庁が勧誘などの一部業務を6カ月間停止する命令を出した。「昔から同じようなことをやっているのに、なぜ今なの?」と思われたかもしれないが、どういった背景があるのか。さまざまな憶測が飛び交っていて……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 「田園都市線」は多くの人が嫌っているのに、なぜ“ブランド力”を手にできたのか
「通勤地獄。なぜあんなところに住むのか」――。SNS上で「東急田園都市線」が批判されている。街は整備されていて商業施設もたくさんあるのに、なぜこの沿線をディするのか。その背景に迫ったところ……。 - 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.