「立ち寄りたくなる」ために何を見せるのか ららぽーとが取り組む“視覚”の効果:データを活用して「入店率」に差(3/4 ページ)
三井不動産は大型商業施設「ららぽーと」で、各店舗への入店率を高めるための取り組みを始めた。マネキンやデジタルサイネージに対する通行者の反応を計測。店頭で何を見せるかによって入店率に差が出ることが分かった。
コンテンツ内容によって、入店率に差
計測した結果、分かったことは何か。越智氏は実験の成果について、「今回の実験では、いわゆる“勝ちパターン”を完全に把握するところまでは至りませんでした。一方で、何を見せるかによって入店率に大きな差が出ることは分かりました」と説明する。
例えば、デジタルサイネージで会員登録の案内を流すよりも、具体的な商品を見せるほうが数値が高かった。「ブランドについてよく知らないお客さまも多いため、そういった方には会員登録のメリットを訴求するよりも、商品画像など、パッと見て分かりやすい内容のほうが効果的な可能性が高いです。肌感覚では感じていたことですが、データで可視化することであらためて確認できました」(岩本氏)
さらに岩本氏は「マネキンに着せる商品の色を変えただけでも、若干ですが差が出ています」と話す。今後、深掘りして検証していけば、視聴率や入店率を高めるパターンをより明確にできるかもしれないという。
今回実験に協力したナノ・ユニバースのように、商品のテイストや対象となる年齢層の幅が広いブランドでは、マネキンに着せるコーディネートの選択肢も多い。実験では「メンズのマネキンで、明らかに他の期間と違うテイストのコーディネートだった週は、視聴率や入店率が下がった」(越智氏)という結果が出ている。地域による客層の違いやトレンドなど、マネキンのコーディネートを決める要素はたくさんあるが、その判断材料の一つとしてデータを活用することはできそうだ。
関連記事
- 「サクマ式ドロップス」製造元が廃業に追い込まれた、これだけの理由
「サクマ式ドロップス」を製造する佐久間製菓が2023年1月に廃業する。廃業の理由として、同社は「コロナ」と「原材料高騰」の2つを挙げているが、本当にそうなのか。筆者は違った見方をしていて……。 - 「マルチ商法の優等生」アムウェイは、なぜこのタイミングで“お灸”を据えられたのか
日本アムウェイ合同会社に対して、消費者庁が勧誘などの一部業務を6カ月間停止する命令を出した。「昔から同じようなことをやっているのに、なぜ今なの?」と思われたかもしれないが、どういった背景があるのか。さまざまな憶測が飛び交っていて……。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 「田園都市線」は多くの人が嫌っているのに、なぜ“ブランド力”を手にできたのか
「通勤地獄。なぜあんなところに住むのか」――。SNS上で「東急田園都市線」が批判されている。街は整備されていて商業施設もたくさんあるのに、なぜこの沿線をディするのか。その背景に迫ったところ……。 - 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.