「俺より稼ぐ妻」にイライラ──悩ましい50代の下り坂キャリア:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/2 ページ)
妻は女性活用の追い風もあって昇進、一方、自分のキャリアは下り坂。夫婦の年収が逆転し、複雑な心境に──そんな悩みを持つ51歳の男性。50代からのキャリアと夫婦関係に、どう向き合うべきか?
本記事は、『50歳の壁 誰にも言えない本音』(著・河合薫、MdN新書)を一部抜粋し、ITmedia ビジネスオンライン編集部で編集の上、転載したものです。
人生には、自分からしかけて起こす「変化」と、放っておいても起こる「変化」の2種類があります。
前者には前向きに対処できても、後者の変化に対応するのはなかなか骨が折れる。なにせ「マジか!」と狂喜乱舞するような変化はごくごく稀。大抵は心が千々に乱れ、動揺し、自分を見失いそうになる出来事のオンパレードです。
たとえ他人が一笑にふすような出来事でも、自分にとっては、ヘビー級のボクサーにパンチをくらったように目の前が真っ暗闇になってしまうのです。
妻の下剋上! 夫婦の勢力関係をめぐるバトル勃発
大手電機メーカーに勤める山越さん(仮名)51歳は、妻と立場が逆転するという“まさかの変化”に遭遇。真っ暗闇どころか、谷底に突き落とされた気分になったそうです。
3カ月ほど前、家に帰ったらワインとケーキがおいてあった。子どもたちはもう独立していますし、孫がいるわけでもありません。いったい何のお祝いなのか? と不審に思っていたら、妻から昇進を告げられました。
うちの妻は総合職です。彼女の会社は積極的に女性活用を進めているので、若い社員のロールモデルを期待されたみたいでした。ずっと共働きで育児をやりながら本当によくやってくれたので、そのときは「よかったね。おめでとう」と心から祝福できました。
ところが、先日、リビングの机に彼女の給与明細がおいてあって。そこそこもらってるんだろうなぁとは思っていましたが、自分よりはるかに稼いでいたので愕然(がくぜん)としました。その日は役職定年になった先輩から、「給料は下がるわ、元部下が上司になるわで、プライドがもたん」と聞いていたので複雑な心境になりました。だって、自分も数年後には先輩と同じ下り坂をたどるわけです。なのに妻は上り坂なわけですからね。
それからというもの、妻のブランドもののバッグとか服装とかが、やたらと気になる。仕事のことを話されると、聞こえないふりをして。自分でもせこいと思いますよ。俺、何やってんだろうって。
それまでは「Happy wife, happy life」なんて、かっこつけてよく言ってたんですけどね。もう言えません。私はちっちゃい奴なんでしょうか。
ちっちゃい奴……ではないと思います。ただ単に、「社長=夫」の椅子を「副社長=妻」に奪われ、自尊心がボロボロになった。妻が下克上したことで、山越家は戦国時代に突入してしまったのです。
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