2022年のファッション業界振り返り 専門家が注目する「3つのキーワード」とは?:磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)
1年を表す漢字に「戦」が選ばれた2022年。ファッション業界では、どんなことが起こったのか。専門家が3つのキーワードを軸に解説する。
まずはZ世代の女性を中心に話題沸騰中の中国EC「シーイン」。中国発ECでは、先行サービスとしてアリババグループのアリエクスプレスがあるが、シーインは自社管理物流によって商品が手元に届くまでの納期管理にストレスを感じさせない点に優位性があると筆者は見ている。
そのシーインの常設店舗「シーイン トーキョー」が、原宿のキャットストリートに出店した。店舗での物販は行わず、陳列商品に付いているタグのQRコードを読み取って、シーインの公式アプリから購入できるというショールーミングスタイルを採用。店内にはフィッティングルームが3部屋とフォトブース、店内写真をSNS投稿することで抽選に参加できる「シーインガチャ」などがあって、来店者にゲーム感覚でSNS投稿数を伸ばし、話題を集める狙いも見える。
ZOZOは、表参道に常設店舗として「niaulab AI by ZOZO」をオープン。完全予約制で、ZOZO独自のAIとプロのスタイリストが1人のお客に対して2時間以上かけ、スタイリングをアドバイスする。利用者はLINEの専用アカウントから公募、全サービスを無料で体験できる。
シーインとZOZOの出店は、リアル店舗での販売をしないショールーミングスタイルだ。他のアパレルのショールーミング型店舗としては、ジーユーが18年11月に出店したものの入居施設の建て替えに伴い、21年10月に閉店した。その後、同タイプの出店があまり続かなかったことを思えば、現段階でのショールーミングによるアパレルの購入は、あまり支持されていないのだろう。その中であえてショールーミングスタイルを採用したシーインは「物販」より、SNS発信を目的とした「広告宣伝型店舗」と考えてよさそうだし、ゾゾに関してはパーソナル・サービスによるデータ収集に徹した店舗とも読める。
OMO型店舗も増加中
ショールーミングスタイルではなくリアルとオンラインのいずれもで購入できる「OMO型店舗」でリアル進出した例もあった。
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