2022年のファッション業界振り返り 専門家が注目する「3つのキーワード」とは?:磯部孝のアパレル最前線(4/4 ページ)
1年を表す漢字に「戦」が選ばれた2022年。ファッション業界では、どんなことが起こったのか。専門家が3つのキーワードを軸に解説する。
楽天グループとシーズマーケットがラフォーレ原宿にオープンした「Kulture Market Supported by Rakuten」だ。楽天市場に出展する店舗が扱っている韓国発の商品を展示・販売している。来店者は実際に商品を手にとり、その場での購入もできるし、オンラインでの購入も可能だ。展示ブランドは約4カ月ごとに年3回は入れ替える予定とのことで、現在は韓国コスメとアパレルなどで計10店舗・15ブランドの商品を100点以上販売している。
このOMO型店舗は、楽天の例以外でも、急速に広がりを見せている。オンワード樫山の「CLICK & TRY」、青山商事が展開するザ・スーツカンパニーでは「TSC SQUARE」、アダストリアの「ドットエスティストア」などが挙げられる。リアル店舗を中心に展開してきた企業も、オンラインとリアル店舗を融合させた新たな購入体験について模索しているところだといえ、23年以降も目が離せない。
「癸卯」の2023年 景気回復なるか
以上、22年にファッション業界で話題を呼んだ「値上げ」「M&A」「リアル店舗シフト」の3トピックスについて取り上げてみたが、その他にも異常気象や電力エネルギーの節約、再上陸ブランドとライセンシング・ビジネスの活況など23年にも引き継がれていくようなトピックスがあった。
23年は「癸(みずのと)卯(う)」と呼ばれるうさぎ年で、うさぎの跳ねる特徴から景気が上向きに跳ねる、回復するといわれ、株式市場では縁起のよい年として知られているようだ。22年は円安に見舞われた1年だったが、ここにきて日銀の方針転換により、円高へと揺れ始めた。相次いだ値上げ後の円高による利潤が、賃金アップにまで影響して、国内景気をプラスに転じさせるような好循環する年となってもらいたいものである。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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