箱根駅伝ランナーの“足元”争奪戦 二強のナイキ、アディダスに番狂わせのプーマ:箱根駅伝の裏側でメーカーの競争(後編)(2/3 ページ)
正月の大人気イベントである箱根駅伝、スポーツメーカーが選手たちのシューズをめぐって熾烈なシェア争いを繰り広げている。国内の老舗ブランドであるミズノとアシックスに加え、海外大手のナイキ、アディダス、ニューバランスの5メーカーが“群雄割拠”の戦いを続けてきた。そしてこの乱世に乗じてプーマが、二強のナイキとアディダスの寝首をかこうと狙っている。箱根駅伝をめぐるスポーツビジネスの実態を見ていこう。
ユニフォームにも変化が
世界陸連広告規程の改定に伴い、国内大会でも2020年から各チームのユニフォームに所属名とブランドロゴに加え、スポンサー名(40平方センチメートル以内、高さ5センチ以内)を表示できるようになった。箱根駅伝でも21年大会から登場した。
つまり、スポーツメーカー以外の企業も箱根駅伝でPRできるチャンスを得られたことになる。例えば、東洋大の右胸上部には伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」のロゴが付く。東洋大の選手たちは伊藤園提供の健康ミネラルむぎ茶を日常的に飲んでいるだけでなく、専門誌などで同社のタイアップページにも登場している。明大の胸元には「サトウのごはん」の文字。サトウ食品は新潟県産のコシヒカリを年間1万2000食とサトウの切り餅1万3600食を明大競走部に提供しているという。
ユニークなのはJR西八王子駅の駅前に本部ビルを構える八王子きぬた歯科だ。法大は多摩キャンパスが陸上競技部の拠点になる縁で新たにユニフォームスポンサー契約を結んだ。
同院はきぬた院長本人の顔を大きく露出した看板を全国240カ所に掲出していることで話題となっており、「バズったもん勝ちかなと。注目を浴びれば選手たちは実力以上の力を発揮するんじゃないかな。ユニフォームの方も、もっと目立たせるために院名じゃなく顔写真にしようかどうか検討中。選手の頑張りに期待しています」ときぬた院長は話している。顔写真は冗談かもしれないが、八王子きぬた歯科は以前から「歯の健康とスポーツ選手との相関関係」の研究を進めており、まずは法大の選手たちに歯科検診を実施していく予定だという。
企業ではなく自治体のロゴを付けている大学も少なくない。青学大は夏合宿を行う新潟県の「妙高市」、順大は練習拠点を置く千葉県の「印西市」。4年ぶりに出場する大東大も練習拠点となる埼玉県の「東松山市」のロゴが入ることが決まった。なお青学大・原晋監督は「金銭面だけで言えば、もっと良い条件はあったが、妙高市に恩返しをしたいという気持ち。地域活性化です」と話している。
ユニフォームとシューズ以外で目立つのがネックレスだろう。一見、チャラく見えるかもしれないが、身体のコンディショニングを整える意図で着用する選手が多い。主に使用しているのは磁気医療アクセサリーだ。
なお青学大の選手はフィギアスケートの宇野昌磨選手らトップアスリートが愛用しているコラントッテというメーカーの商品を使用しているが、青学大と同社はチームアドバイザリー契約を締結している。その流れのなかで、コラントッテは「青山学院大学駅伝チーム」モデルのネックレスを限定生産。青山学院大学駅伝チーム×妙高のクラウドファンディングの返礼品としている。
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